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日本代表 8年前

【識者の視点】小林悠がハリルJを活性化させる理由。“背中を取る”FWが代表にもたらす大きな可能性

text by 河治良幸 photo by Getty Images

新戦力として注目は不運な負傷が続いた川崎のFW

小林悠
小林悠【写真:Getty Images】

 攻撃面の課題はFWだけの問題ではないが、チャンスに前を向いて勝負し、ゴールを決め切る力というのは日本代表のFWにとって課題になってきたところだ。その部分をさらに引き上げ、フィニッシュの迫力とバリエーションを高めうる候補たちと言える。

 昨年の東アジアカップでA代表デビューし、U-23日本代表のリオ五輪出場に貢献した浅野、ブラジルW杯から約2年ぶりの代表招集となる齋藤も“ハリルジャパン”の新戦力としてアピールを期待したいが、筆者が特に注目しているのは小林だ。

“ザックジャパン”ではブラジルW杯に向けた2014年4月の国内合宿をコンディション不良で不参加となった小林は約6ヶ月間で活動を終了した“アギーレジャパン”で継続的に選出されたものの、2014年11月のキャンプで香川真司と接触して離脱。

 昨年1月のアジアカップでは出場チャンスを得られないまま敗退が決まるという屈辱を経験。心機一転、昨年3月に就任したハリルホジッチ監督が最初に選出した31人のメンバーに入ったものの、3月22日のモンテディオ山形戦で右ハムストリングを負傷した。

 代表合宿の辞退がきまると「神様に言いたい。何回目だよ。そんな俺強くないわ」と悔しさを表した小林は5月の国内合宿も右膝の負傷で辞退。8月に中国の武漢で行われた東アジアカップの予備登録メンバーに入ったものの、ふくらはぎの負傷で招集が見送られた。ただ、ここまでハリルホジッチ監督はことあるごとに小林に対する好評価を口にしており、今回は代表候補ではあるものの、満を持しての参加となる。

 小林の特徴は一瞬の動き出しで相手ディフェンスの裏を取り、同時に味方の決定的なパスを引き出すセンスとゴールに向かう姿勢だ。川崎の同僚である元日本代表MFの中村憲剛をして「相手の嫌がることをできるスペシャリスト」と言わしめるストライカーはサンフレッチェ広島とのJ1開幕戦で決勝点を記録すると、湘南ベルマーレとの“神奈川ダービー”でも2得点。

 さらに後半アディショナルタイムに見事な「左の(車屋)紳太郎からボールが来るかなと思った」と振り返る絶妙な動き出しからヘッドで折り返し、森本貴幸の同点ゴールをアシストした。

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