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“悪童”スアレス、実はいいやつ? 得点だけでないリーグトップのアシストが示す真の姿

リーガエスパニョーラ第28節、バルセロナはアウェイでエイバルと対戦して4-0と快勝。この試合で1ゴール1アシストを決めたルイス・スアレスは、得点ランク2位に加えてアシストランクではトップに立つ。エゴイストであることが求められるストライカーとして屈指の力を持ちながら、献身的に味方をお膳立てするスアレスは、現在のバルサに欠かせない存在となっている。

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

噛みつきに人種差別。そのイメージはダーティーに染まるが…

ルイス・スアレス
ルイス・スアレスの“噛みつき事件”【写真:Getty Images】

 ストライカー=エゴイストというのは、サッカーの長い歴史で築かれた常識ともいえる。そのために、ゴールチャンスで自らにボールが渡らなければ味方に不満をぶつける、より可能性の高い味方にパスを出さず無理矢理にでもシュートを放つ、PKキッカーの座を奪う…など多くの逸話があり、批判の声とともに「ストライカーとはそういうもの」とされてきた。

 近年、最も記憶に新しいストライカーの強烈なエピソードといえば、ルイス・スアレスの“噛みつき事件”である。リバプール時代にチェルシーのDFイバノビッチの腕に噛みつき10試合の出場停止処分。さらに14年ブラジルW杯でイタリア代表のDFキエッリーニにも噛みついて4か月の活動禁止や代表戦9試合の謹慎処分を受けた。

 加えてスアレスは、人種差別発言でも出場停止処分を受けた過去があり、そのイメージはダーティーに染まり、“悪童”と揶揄された。それでもピッチで圧倒的な得点力を発揮する様は、ある意味で典型的なストライカーのものと感じていた人も少なくはないだろう。

 しかし、実際のスアレスのプレーを見れば、そのイメージは大きく覆される。エピソードの数々が信じられないほどに。

 3月6日、リーガエスパニョーラ第28節において、バルセロナはアウェイでエイバルと対戦。スアレスはいつものようにバルサの最前線に立った。しかし、MSNと謳われる3トップのうち、ネイマールが累積警告による出場停止で不在。代わって20歳のムニルが左ウイングを務めた。

 試合は90分を総評すると、いつも通りのバルサの勝利。4-0というスコアは通常であれば大勝と言われるものだが、もはや特別騒ぎ立てる結果ではなくなっている。それはそれで恐ろしいことではあるが。

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