強気のベンチワークで浦和を陥れた磐田指揮官・名波浩の策略。稀代の天才は策士へ

J1屈指の強豪である浦和レッズからJ1復帰後初勝利をもぎ取ったジュビロ磐田。可変システムを駆使する昨季のファーストステージ王者に対し、周到な準備をして失点を避け、相手の隙をついて2ゴールを奪った。守備組織の構築はもちろんだが、この試合の勝因として、名波浩監督の絶妙な采配があったことは見逃せない。

2016年03月09日(Wed)11時00分配信

text by 青木務
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選手・監督紹介時に最大のブーイングを受けた名波浩監督

浦和サポーターから大ブーイングを受けた名波浩監督
浦和サポーターから大ブーイングを受けた名波浩監督【写真:Getty Images】

 キックオフが迫り、埼玉スタジアム2002の雰囲気が高揚していく。真っ赤に染まるホームのゴール裏が、磐田の選手・監督紹介で最も大きな反応を示したのは誰だったか。それは現役時代、ピッチ上に数々の芸術を生み出してきた名波浩に対してだった。サックスブルーを率いて約1年半の青年監督に、浦和サポーターは特大のブーイングをスタジアムに轟かせた。

 Jリーグ、そして日本サッカー界にその名を刻んだレジェンドは、類まれなカリスマ性に気さくさを持ちあわせる。厳格なボスであり、選手たちから慕われる兄貴分でもある指揮官は、古巣をJ1の舞台に導いた。名古屋グランパスとの開幕戦を落としたチームは、第2節で昨季1stステージ王者が待つ埼玉スタジアムに乗り込んだ。

 攻守において自分たちからアクションを起こす、というチームの目指すスタイルではなかったことは間違いないが、磐田は泥臭く戦いながら浦和と互角に渡り合い、そして勝ち点3を掴み取った。

「『まさかアウェイの浦和で』と思っている方もいるかもしれないですけど」と試合後に名波監督が笑ったように、この結果を番狂わせと見る人も多いだろう。だが、勝利には理由がある。理想とはかけ離れていたが、現実を正確に見据えてこのビッグゲームに臨んだ。

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