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香川真司 8年前

香川ゴールも深い悲しみ。BVBにとって何より大事だった勝利。急死ファンに「君は1人じゃない」

text by 本田千尋 photo by Getty Images

積極的なエリア内侵入が実った香川の得点

「流動的に動きに変化を加えてやるようには意識していました」と言うように、香川もボールを受けてチャンスを演出する場面が少しずつ出てきている。

 33分、少し低い位置ではあるが、フンメルスからボールを受けて左サイドを上がるシュメルツァーにパスを出す。38分には、シャヒンからエリアの手前でパスを受けて、また左のシュメルツァーに大きくサイドチェンジ。そして、そのままエリア内に入っていく。

「両サイドに速い選手が入って、あそこで作れるので、そういう意味では中に入っていくところは求められています」

 マインツ戦では、香川のエリア内に入っていく動きが目立ったが、73分のゴールは、その動きが実った形だったとも言えるだろう。ムヒタリアンが左のオーバメヤンへ、オーバメヤンの折り返しを、ロイスがスルー。そして香川が右足で押し込んだ。

 しかしロイスが決めた29分の先制点は、カストロの個人技から強引に生まれたものでもある。そう考えると、3バック+2シャドーはまだまだ発展途上の段階と言えそうだ。

 しかし、このマインツ戦で重要だったことは、布陣が機能したかどうかではなく、何より勝利したことだったと言えるのかもしれない。

 ファンの1人が、試合中に心筋梗塞で天国に旅立った。

 その事実が伝わっていったのか、歌声は次第に止み、静かなざわめきがスタジアムを覆った。

 そしてゴール裏は、BVBの黄色いタオルマフラーを掲げて「You’ ll never walk alone」を歌う。

 君は決して1人で旅立つわけじゃない。

 先行くファンに捧げられた、2-0でのマインツ戦の勝利だった。

【了】

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