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カタール、W杯準備は順調か? ホスピタリティと労働環境。知られざる舞台裏【潜入レポート】

text by 森本高史 photo by Takashi Morimoto , Supreme Committee for Delivery & Legacy

他国の失業者に雇用機会を創出

工事現場に用意された大量の飲料水【写真:Supreme Committee for Delivery & Legacy】
工事現場に用意された大量の飲料水【写真:Supreme Committee for Delivery & Legacy】

 レイバー・シティの現地視察後、アル・タワディ氏は、現在改修中のアル・カリファスタジアム(2011年アジアカップ決勝を開催)に視察団を連れて行ってくれた。

 工事現場の至る所で「あなたの安全が最重要だ(Your safety is the most important)」と安全第一をアピールされており、とりわけ3月から10月にかけては、炎天下の中での作業になるので、労働者の健康を考慮し、大量の飲料水が提供されている。

 約100ページからなる労働安全マニュアルは英語、アラビア語、ヒンドゥー語(インド)、ベンガル語(バングラデシュ)で作成され、労働者、管理者、経営者など多くの人に事故のない安全作業の実施を徹底している。

「カタールW杯組織委員会は、中東初と歴史的意義の深い2022年W杯開催の仲間として、労働者にこの上ない環境を用意している。インドやバングラデシュなど南アジア諸国が貧困による失業問題などを抱えているなか、カタールのスタジアム建設はそういった国々の労働者の雇用促進に大きく貢献している。

 給料は平均以上で、故郷に残る家族が安心して暮らしている。家族をカタールに連れて来られるようにビザ取得のサポートも行っている。FIFAも既に視察に訪れており、ブラボーと絶賛してくれた。

 その時のアドバイスは『カタールW杯は史上最高のW杯となる。あなた方は素晴らしいことを行っている。様々な批判があるかと思うが、世界に向けて積極的にアピールしてほしい』というものだ。

 まさしくその通り。批判に屈せず、全世界の人々に楽しんでもらえる2022年W杯を開催できるように最高の準備をしていきたい」とアル・タワディ氏は目を輝かせながら語っていたのが印象的だった。

(文:森本高史)

【了】

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