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日本代表 8年前

宇佐美はもう若手ではない――。代表で輝くために求められる“活かし活かされる”関係性

text by 元川悦子 photo by Dan Orlowitz , Getty Images

鍵握る宇佐美と長友の関係性

 右での先発が有力視される本田と酒井高徳(HSV)は2015年アジアカップ(オーストラリア)など数多くの実戦を積み重ね、相互理解が深まっているから大丈夫だろうが、左のスタメン候補である宇佐美貴史(G大阪)と長友佑都(インテル)は過去に揃って先発した試合が昨年6月のイラク戦(横浜)しかない。

 この時は親善試合ということもあり、2人が高い位置を取りながらスペースを空け合うようないい連携も見られた。長友は「初めて同サイドでプレーするので、試合の中でどうやったら彼が気持ちよくプレーできるのかを見ながらやっていたんですけど、でもホントに楽しそうにやれていた」と前向きに語ったが、やはり勝負のかかった公式戦となればスムーズに行くとは限らない。2人を含め、近い位置関係にいる選手たちと入念な意思疎通を図っていくことが肝要と言える。

 宇佐美と長友の特徴を考えると、宇佐美はボールを持ったらドリブルで中に切れ込んでシュートかクロスを狙うのを得意とするが、外に動く場合は深い位置までえぐって折り返すようなプレーはほぼしない。

 長友はそんな宇佐美のスタイルを頭に入れながら、外に回ってクロスを上げる形に多くトライするだろう。ただ、同じパターンを繰り返していると相手にも読まれやすいし、2人とも厳しいマークに遭ってボールを失うような場面も起こり得る。だからこそ、臨機応変にリズムを変化させたり、お互いがポジションをクロスしたり、細かいパス交換で敵を欺くなど、大胆な試みを繰り返していくべきだ。

 宇佐美も、周囲との「活かし活かされる関係」を最優先に考えながらプレーするつもりだという。

「状況にもよりますけど、自分が活かされるというよりは、先に近くにいる真司君やオカちゃん(岡崎慎司=レスター)、逆側にいる圭佑君を活かすことを考えてやりたい。自分を活かすことを当たり前にしてくれる選手たちなので。

 もちろん、いい意味のエゴは持ちながらやりたいですけど、そういうエゴを持つためにも、まずは近めの選手たちに気持ちよくプレーしてもらえるかってことがすごく大事。その中で次は活かしてもらうって感じになっていくといい」と彼も話していた。

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