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日本代表 8年前

【識者の眼】ハリルが警鐘を鳴らすシリアの“時間稼ぎ”。ゲームを“壊されない”ために必要な状況判断

2018年ワールドカップ、アジア2次予選最終戦のシリア戦に臨む日本代表。ハリルホジッチ監督は前日会見でシリアが仕掛けてくる「罠」に対応しなければならないと指摘したが、実際のところ、どのような対策が必要なのだろうか。(取材・文:河治良幸)

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ハリル監督がミーティングで指摘したシリアの“罠”

長谷部誠
長谷部誠【写真:Getty Images】

 2次予選の最後の試合となるシリア戦は勝利が求められると同時に、最終予選に向けて、現時点でどこまでチームのプランを実現できるかをはかる機会でもある。

 長谷部誠キャプテンが「この試合でワールドカップ出場が決まるくらいの雰囲気作りをしないといけない」と語る試合だが、シリアはハリルホジッチ監督が“リアリストなチーム”と表現する相手で、フィジカルに優れる上に、中東のチームのなかでも駆け引きを得意とする。

「彼らの誘いに乗らない。リズムを壊しに来る罠にひっかからない。シミュレーションも演技もしてくるかもしれない」

 とハリルホジッチ監督。シリア戦を2次予選の“ファイナル”に位置づける指揮官は、相手の誘いに乗らないことが勝負のポイントになると強調した。

「とにかく罠にひっかからない、シミュレーションにかからない、ファウルをしない。相手のGKは必ず演技をする、リズムを壊しに来る」と強調する指揮官は実際にミーティングで選手たちに映像を見せながら注意を促したという。

「映像とかももちろん見ていますし、第一戦の感覚ももちろん覚えています」と語るキャプテンの長谷部誠も「シリアは非常に挑発して来るというか、もちろんそういう部分もある」と警戒を強める。では前回のシリア戦ではどういうことが起こっていたのだろうか。

 シリアが政情不安にあるため、10月の試合は中立地のオマーンで行われた。AFCの中では良質なジャッジで定評のあるイルマトフ氏が主審を担当したものの、日本はシリアのフィジカル重視の戦い方に苦しみ、なかなかリズムを掴めないまま試合が進んだ。

 しかし、後半10分に長谷部誠のパスから岡崎慎司が相手のPKを誘い、本田が冷静に決めてリードすると日本のリズムが良くなり、香川慎司の絶妙なパスを岡崎が決めて追加点。さらに本田のパスから中央を突破し宇佐美貴史が右足のシュートで3点目を奪った。

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