気迫欠いたレアル。決勝に向け不安
なんとも締まりのない試合だった。
CL準決勝2ndレグで対戦したレアル・マドリーとマンチェスター・シティの一戦は、そう感じざるを得ない試合展開だった。
シティのホームで行われた1stレグは0-0の引き分け。2ndレグは1点が勝敗を分ける緊迫した展開になるはずだったが、とても欧州最高峰の大会のファイナリストを決するという試合には見えなかった。
試合は事実上ガレス・ベイルのゴールとも言えるオウンゴールが2試合を通じて唯一の得点となり、マドリーが決勝進出を決めた。
スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァでの決勝は、2年ぶりとなるアトレティコ・マドリーとの“マドリード・ダービー”である。だが、シティ戦を見たマドリディスタは決勝に向けて不安を感じずにはいられないだろう。
マドリーがこの試合で放ったシュートは15本で、うち枠内シュートは5本。作り出したチャンスは13回だったが、最終的に決まった得点はベイルが生み出したオウンゴールのみだった。
シティ側からすればあと1点を奪えばアウェイゴール差で優位に立てる状況だったため、マドリーにとって1点差は安全圏ではなく、追加点を奪う必要があった。
しかし、シティは試合開始10分で守備の要であるヴァンサン・コンパニが負傷退場。トップ下で先発したヤヤ・トゥーレは攻撃でも守備でも貢献できず、エースのセルヒオ・アグエロは試合終了間際に枠外シュートを1本放つのがやっとという散々な状況だった。
だが、気迫を欠いたマドリーはシティの低調なパフォーマンスにお付き合いしてしまい、トドメを刺すことができなかった。
この試合で最多となる7本のシュートを放ったのはクリスティアーノ・ロナウド。しかし、65分以降には決定機が訪れることもなく、およそ30分間は沈黙していた。最大の見せ場といえば、コービー・ブライアントもびっくりの“ダンクシュート”くらいだっただろうか。