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レアル、空中分解寸前からCL制覇。“白い巨人”を救ったジダンの超カリスマ力【15/16シーズン査定】

2015/16シーズンも各国リーグで最終節を終え、シーズン終幕を迎えた。タイトル獲得や昨季からの巻き返しなど様々な思惑を抱えていた各クラブだが、その戦いぶりはどのようなものだったのだろうか。今回はレアル・マドリーを振り返る。(文:高橋康光)

シリーズ:15/16シーズン査定 text by 高橋康光 photo by Getty Images

迷走する白い巨人。ジダン就任で修正するも実は…

ジネディーヌ・ジダン
ジネディーヌ・ジダン監督【写真:Getty Images】

 2015/16シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)優勝監督は、ジネディーヌ・ジダン。シーズン前にこのエンディングを予想できたサッカーファンはいただろうか。

 このストーリーも、思い起こせばシーズン前、全く解任する必要のなかったカルロ・アンチェロッティが解任され、ラファエル・ベニテスの招聘というフロントの独り相撲から始まったのである。

 序盤はまずまずの滑り出しは見せたものの、第11節セビージャ戦を落とし、第12節ホームでのバルセロナ戦で0-4と惨敗すると、チームを取り巻くムードが一気に悪化。庇護者であったはずのフロレンティーノ・ペレス会長の態度も一変してきた。

 そして、白い巨人は波乱の2016年を迎える。年明け最初の試合でバレンシアと引き分け、第18節終了時で首位アトレティコ・マドリーと勝ち点差4の3位。それでも数字以上に空中分解状態だったチームは、1月4日にベニテス監督を解任し、チームのレジェンド、ジダンの監督就任を発表した。

 シーズン途中の緊急登板、トップチームでの指導経験がないという周囲の懐疑的な目もある中、就任5日後、第19節デポルティーボ・ラ・コルーニャ戦を迎えた。ストレスから一気に解き放たれたかの様に躍動した選手たちは5-0と圧勝し、翌節でも大量得点で勝利し、新生ジダン・マドリーは上々のスタートを切った。

 ただ、ジダン就任以降のリーグ戦は20試合17勝2分1敗と素晴らしい数字を残したが、すべてが順風満帆だったわけでもない。最初の10試合は7勝2分け1敗というスタートであり、この勝ち点23という数字は、実は直近の4人のマドリー指揮官の中では最低の数字だったのだ。

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