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EURO2016 8年前

アイスランドは小心者なのか? 勝利を諦めない小国のプライドと心を打つ献身性

EURO2016のグループステージは第2節が終了。ポルトガル、オーストリア、ハンガリー、アイスランドが並ぶグループFは決して注目度の高いグループではなかったが、最終節では高い注目を集めるグループとなるだろう。そして、その展開を演出したのが初出場のアイスランドだった。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

多くの音楽家を輩出。独特の感性を持つ島国アイスランド

アイスランド代表
ポルトガル代表を相手に健闘したアイスランド代表【写真:Getty Images】

 Bjork、Sigur Ros、Eberg…。多くの素晴らしい音楽家を輩出しているアイスランド。芸術的な分野において独特の感性を発揮している人物が多く、尊敬や憧れの念を抱いている人も少なくはない。

 一方で、東京都中野区とほぼ同じ人口約32万人のヨーロッパ大陸から離れた島には、多くの火山が存在し2010年には噴火による被害にも悩まされている。

 サッカーの面においては、グジョンセンやギルフィ・シグルズソンといったワールドクラスの素晴らしい選手を輩出してはいるのもの、W杯予選もEURO予選も勝ち抜くことはできていなかった。

 しかし、今回のEUROでは出場国が従来の16ヵ国から24ヵ国に拡大されたのもさることながら、予選でオランダに2戦2勝という結果を残して文句なしの初出場を果たした。

 もちろん、それでもこの23選手への期待は高いものではなく、何かしらの縁がなければ大会前から注目していたという人は少なかったはずだった。

 その中で迎えた初戦、相手はポルトガル。クリスティアーノ・ロナウドという世界最高級の選手を中心に才能ある若手が台頭している強国との対戦では、1-1という結果で世界中に衝撃を与えた。

 それらの報道の中で最も目立ったのが「アイスランドは小心者」というものだった。これはクリスティアーノ・ロナウドが守りに徹したアイスランドへの不満を語ったとされるコメントの一端である。

 そして、第2戦となるハンガリー戦も1-1。39分にシグルズソンのPKで得た1点を終盤まで守ったものの、87分にサエヴァルソンのオウンゴールで失点し、初勝利を逃しているため満足できる結果ではないかもしれないが、それでも2戦で無敗は期待以上といえる。

 ただ、2試合のスタッツを見ると、アイスランドはポルトガル戦で29.5%という支配率でシュートは相手の26本に対してわずか4本。ハンガリー戦でも31.7%の支配率でシュートは相手の12本に対して8本と下回った。

 では、アイスランドは小心者なのか?

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