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メッシ、代表引退の舞台裏。アルゼンチン協会の腐敗ぶり。首脳陣の不在、求められる正常化

text by 藤坂ガルシア千鶴 photo by Getty Images

インスタグラムに投稿されたアルゼンチン協会への不満

 では、代表を管轄するAFA(アルゼンチンサッカー協会)はどうかと言うと、おそらく、今メッシが最も話をしたくない相手であることに間違いない。代表引退を決意した原因のひとつだと言ってもいいだろう。

 「また飛行機の中で出発を待たされているところ……AFAの人たちって、もう本当に最低!!!!!」

 感嘆符を5個もつけ、メッシがAFA(アルゼンチンサッカー協会)に対する不平をインスタグラムに書き込んだ時、アルゼンチン国内ではまず、その投稿の信憑性が疑われた。誰かがメッシになりすまして書いたのではないかと思うほど意外で、強烈で、衝撃的だったからだ。

 だがそれは、普段はおとなしいメッシ本人から出た言葉だった。一緒に投稿されている写真には、見るからに不機嫌な表情のメッシとアグエロが写っている。

 メッシの怒りを理解するためには、今回のコパ期間中、アルゼンチン代表の一行が直面したいくつかの不備について説明する必要がある。

 まず、アルゼンチンから開催地アメリカへの移動に利用されたチャーター便に、9時間のフライトに必要な快適さがなかったこと。詳細は明らかにされていないが、関係者の話によると、普段使うチャーターとはかなりの差があったことがわかっている。

 次に、ゲーム練習の相手となるU-20代表を帯同させられなかったこと。ホセ・ペケルマンがユース代表の指揮を執り始めた90年代半ばから、アルゼンチンのA代表は国際大会の度にU-20代表を帯同させてきたが、今回は各滞在先で地元のローカルクラブや大学生のチームとその場で交渉しなければならなかった。当然、ゲーム練習の強度には大きな差があり、満足の行く結果は得られない。

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