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EURO2016 8年前

ウェールズの3得点生んだ“狙い”とは? ベルギーの「個の力」を打ち砕いた「組織力」

EURO2016準々決勝、ウェールズ対ベルギーの一戦は3-1でウェールズの勝利に終わった。大会前の時点では決して評価の高くなかったウェールズに対して、ベルギーは多くの人々が優勝候補に挙げる存在だった。歴史的ともいえるウェールズの躍進を演出しているのは、個の力を上回る組織力だった。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

優勝候補ベルギーと“アンダードッグ”ウェールズ

ナインゴラン
ナインゴランのゴールでベルギーが先制するも…【写真:Getty Images】

 サッカーでは、組織力と個の力というワードが数多く使われる。

「組織力を高めても、最後には個の力が必要」

「どれだけ個の力が高くても、組織力がなければ勝てない」

 EORO2016準々決勝、ウェールズ対ベルギーの一戦は、改めてこの2つのワードの重要性を伝えていた。

 ベルギーは、最前線にルカク、2列目にアザール、デ・ブライネ、カラスコというヨーロッパでも屈指の才能を持つ4人を並べ、その背後にナインゴランとヴィツェルという強力な中盤を置く。

 対するウェールズは、現在世界最高レベルにあるベイルを筆頭にラムジー、ジョー・アレンという実力者を揃えてはいるものの、総合力で見れば今大会では“アンダードッグ”といえる存在だった。

 選手個人の能力を平均化して比較すれば、圧倒的にベルギーが上回る結果となるだろう。だからこそベッティングサイト『ウィリアム・ヒル』は、ウェールズに5.5倍、ドローに3.4倍、ベルギーに1.75倍というオッズを付けた。

 試合の立ち上がりは、「ベルギー本命」が間違いではないことを示していた。キックオフからベルギーが主導権を握り、ウェールズが守る展開。7分には、ベルギーが立て続けに3本のシュートをペナルティエリア内で放ち、ウェールズがGKを含めて7人で守るシーンもあった。

 そして、13分にはナインゴランの強烈なミドルシュートによってベルギーが先制点を挙げる。これまで体を張った守備とベイルの力で快進撃を見せていたウェールズだが、ここまでの展開を見る限りでは、やはりベルギーの個の力にはかなわないのか、という印象だった。

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