対照的なC・ロナウドとベイル
“絶対的エース”が存在するチームは強い。チーム作りの段階では攻撃の形が作りやすく、実際の試合において確固たる得点パターンを持つことは勝利に大きく近づくことになる。
“絶対的エース”と一言に言っても、そのタイプは様々。たとえば、どのような状況においても自らのスタイルを貫くことで周囲を牽引するタイプ。逆にチームのために必要とあらば本来の役割を超えたプレーも厭わないタイプ。好感が持てるのは後者かもしれないが、どちらが正解ということはない。
そんな対照的な“絶対的エース”を持つチームの激突となったのがEURO2016準決勝、ウェールズ対ポルトガルの一戦だった。
ポルトガルのエース、クリスティアーノ・ロナウドは常に前線で得点機会を伺い、相手のボール保持時には体力を温存する。そのため、試合展開次第ではボールに触れる機会が減り、試合から消えてしまうこともあるが、その反面1発で仕留める機会も多々ある。
ウェールズのエース、ギャレス・ベイルは周囲とのバランスに気を使い、その試合の中でチームのウィークポイントとなっている部分があれば自らがカバーに回る。チームが悪い立ち上がりであっても、大崩れすることはない。しかし、決定的な存在となることが期待されている中で鋭さを失う可能性も低くはない。
どちらにも長所と短所が存在するが、この試合に限って言えば、ロナウドの長所、ベイルの短所が出る結果となった。
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