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Jリーグ 8年前

【英国人の視点】横浜FMがパスよりドリブルを選択する理由。Jの常識崩す疾走感

1stステージで11位に終わった横浜F・マリノスが、2ndステージで巻き返しを図っている。特徴的なのは、攻撃面だ。齋藤学らを中心にドリブル突破を積極的に仕掛け、スピード感のある攻撃を見せている。これは昨今のJリーグにはあまり見られなかった傾向だ。(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

「勝つことが全て」(齋藤学)

齋藤学
齋藤学【写真:Getty Images】

 J1今シーズンの2ndステージは、見慣れた顔ぶれが順調なスタートを切った。鹿島アントラーズにタイトルを奪われるまで1stステージ首位の座を競り合っていた浦和レッズと川崎フロンターレ、それに2014年3冠王者のガンバ大阪がいずれも開幕から2連勝を収めている(7月12日時点)。

 横浜F・マリノスもまた、勝ち点6ポイントを全て手に入れているチームだ。湘南ベルマーレとアビスパ福岡にいずれも3-0の勝利を収めることができた。相手がタイトル獲得よりもトップリーグ残留を最大の目標とするチームだったとはいえ、エリック・モンバエルツ監督のチームには改善の兆しが感じられる。1stステージの開幕から2試合が、ホームでのベガルタ仙台戦の黒星と、アウェイでのアビスパとのドローだったことを思い出せばなおさらだ。

 マリノスは1stステージを11位で終了。優勝した鹿島には実に17ポイント、3位浦和にも11ポイントの差をつけられた。その最大の原因は、ホームでの9試合中2試合にしか勝てなかったことにあった。ホームのファンの前ではわずか8ゴールしか挙げられず、9試合中5試合はノーゴールに終わっていた。

 その反面、アウェイでは5勝を収めており、黒星はわずか2つ。計16ゴールを奪い、無得点に終わったのは1試合だけだった。これまでにないほど気合いの入った守備を見せられるようになった現在、モンバエルツ監督はもう少し攻撃的な意識を持ってプレーする考えに傾いている様子だ。その点において相手チームを苦しめられるだけのメンバーは揃っている。

「相手のセカンドボールを奪い返し、素早く速攻を仕掛ける回数を増やしていく必要があると思います」。チーム屈指の精力的な動きを見せ、アビスパ戦で先制ゴールを記録した齋藤学は試合後にそう語った。

「今日はそういうプレーを通して、サイドから突破してゴールを決めることができました。全体的なパフォーマンスはそれほど良かったわけではないですが、勝つことが全てです。良いプレーができていないとしても、2試合続けて3-0で勝てるというのはなかなかないですからね」

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