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Jリーグ 8年前

磐田、強力2トップの脅威。1stからの進化。守備の負担減らした「憲剛不在」と「攻撃時間」

17日、強豪川崎フロンターレを相手に1-1のドローゲームを演じたジュビロ磐田。1stステージの試合では完全にゲームを支配され、サックスブルーは0-1のスコア以上に力の違いを見せつけられた。だが今回は、年間首位を走るチーム相手に一歩も引かない戦いぶりを披露した。5月の一戦から何が変わったのか。大きくわけて2つのポイントがあった。(取材・文:青木務)

text by 青木務 photo by Getty Images

ボランチ・中村憲剛に苦しめられた前回対戦

ジュビロ磐田の名波浩監督
ジュビロ磐田の名波浩監督【写真:Getty Images】

 明治安田生命J1リーグ2ndステージも4節を消化した。J1の全クラブと一通り対戦し、ジュビロ磐田は強豪と呼ばれるクラブに勝利したこともあれば、粘り強く勝ち点を拾うこともあった。収穫も課題もある中で、1stステージ第14節・川崎フロンターレとのアウェイゲームは、リーグ最高レベルとの差を痛感させられることになった。

 あの試合をもう一度、振り返ってみたい。

 磐田にとって、相手にボールを握られることは試合前からわかっていたことだ。川崎Fはエサを撒くようにボールの出し入れを繰り返す。サックスブルーも積極的に高い位置からアクションを起こそうとするが、川崎Fの攻撃は常に首元にナイフを突きつけているようなもので、不用意に出ていけばたちまち切り裂かれてしまう。

 それでも、終盤までは磐田も集中力を保ちながら対応していく。特に3バックの左に入った森下俊の貢献度は高く、自身の持ち場はもちろん、時にはそこを捨ててでもボールに厳しくアプローチした。

 水際で耐え忍んでいたものの、ジャブではなくストレートをひたすら浴びせるような川崎Fの猛攻に磐田の守備が決壊したのは88分。スローインから自陣右サイドで作られると、バイタルエリアをボールが横断する。最後は大久保嘉人のパスに抜けたエウシーニョの速いクロスを、小川大貴がクリアしきれずオウンゴールとなってしまった。

 川崎Fの勢いを加速させる一因となったのが、中村憲剛のポジションチェンジだ。彼はトップ下でスタメン出場したが、前半38分の森谷賢太郎と大塚翔平の交代を機に、背番号14はボランチに移動することになった。

「その時点で俺らとしてはマルじゃない? これじゃ埒が明かない、と相手がやり方を変えてきたということだから」と名波浩監督は話したが、「憲剛からバンバン縦パスが入って、サイドチェンジもされて、ちょっと苦しくなったよね」とも述べている。森谷のプレーが悪かったわけではないが、中盤の底から中村がゲームを作り、『受けて捌く』をシンプルかつ丁寧に遂行する大塚が起点になることで、川崎Fはよりスムースに攻撃を構築していった。

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