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J放映権新契約、ネット中心も地上波増加か。村井チェアマンの改革で露出拡大へ

text by 植田路生 photo by Editorial Staff

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Jリーグは2017シーズンから2026シーズンまでの放映権について、パフォームグループとの契約を締結【写真:編集部】

 20日、Jリーグは2017シーズンから2026シーズンまでの放映権について、パフォームグループとの契約を締結したと発表した。放映権料は10年間で約2100億円。

 パフォームはNTTグループと協業。「DAZN」(ダ・ゾーン)というパフォームが提供するライブストリーミングサービスでJリーグの視聴が可能になる。J1、J2、J3の全試合が中継される。

 Jリーグはこれまでスカパー!を主体に契約してきたが、パフォームと契約することで放送形態もインターネット(WEB)が中心に切り替わる。だが、地上波の放送は現在よりも増加する可能性が高い。

 まず、今回の契約は有料放送に限ったもので、無料の地上波放送は含まれていない。村井満チェアマンは「より一層増やしていきたい」と露出増加に意欲を見せており、今季と同等以上の放送回数がある可能性が高い。

 また、重要なのは権利関係だ。これまでJリーグの映像権利は株式会社Jリーグメディアプロモーションが管理していた。関連会社ではあるが、別会社であることに変わりはない。映像使用料の面でテレビ局側が二の足を踏んでいたことは否定できない。

 チェアマンは「Jリーグは初めて動画の映像ライツを保有する。(Jリーグが)コストを負担することでニュース番組へ格安で提供でき、ローカル放送局へも安価で提供できる。地上波含めて視聴環境を増やすことができる」と語る。

 Jリーグの課題の1つは露出の少なさであった。特に地上波での中継や報道での取り扱いは少なく、サッカーの非コア層へのリーチは十分とは言えない状況。CS放送のスカパー!との契約、権利関係の問題と2つのジレンマを抱えていた。

 今回の新契約はそれらを一気に解決する目的があるはずだ。地上波での露出アップは、伸び悩むJリーグファン数の増加につながる可能性を秘めている。日本の人口減少が避けられない状況で、苛烈なコンテンツ競争をどう戦っていくべきか。旧態依然とした体制では新時代に対応していくのは難しい。村井チェアマンによる改革は大きな一歩を踏み出した。

(取材・文:植田路生)

【了】

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