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日本代表 8年前

オーバーエイジという諸刃の剣。五輪経験者の助言。過去の代表チームに学ぶ手倉森J

リオデジャネイロ五輪に臨む日本五輪代表が、いよいよ決戦の地ブラジルに入る。日本を飛び立つ直前の7月19日と20日に千葉県内で行われた短期合宿では、オーバーエイジの3人が初めて若いチームメイトと対面。それぞれの武器を発揮し、チーム力をアップさせる化学反応を起こす“触媒”となるために、過去の苦い経験を反面教師にしながら、既存のメンバーとの相互理解を急ピッチで深めていく。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「チームの雰囲気を壊さないようにやっていこう」

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リオ五輪のOA枠で招集された塩谷司(左)、興梠慎三(中央)、藤春廣輝(右)【写真:Getty Images】

 濃紺のスーツに身を包んだ男たちが、決意をみなぎらせた表情を浮かべながら日本を後にしていく。リオデジャネイロ五輪に臨む日本五輪代表が21日午前、羽田空港から決戦の地へ飛び立った。

 経由地のロンドンでMF南野拓実(ザルツブルク)と、移籍が決まったアーセナルとの契約のために渡欧しているFW浅野拓磨が合流。UEFAチャンピオンズリーグ予選3回戦に出場するFW久保裕也(ヤングボーイズ)が合流する今月下旬をもって、招集された全18人が勢ぞろいする。

 出発に先駆けて、19日からは千葉県内で短期合宿が行われている。コンディション調整を目的とした2日間で、オーバーエイジとして招集されたDF塩谷司(サンフレッチェ広島)、DF藤春廣輝(ガンバ大阪)、そしてFW興梠慎三(浦和レッズ)が23歳以下の選手たちと初めて顔を合わせた。

 すでに6月中に五輪代表への招集が内定していたオーバーエイジの3人は、6月下旬に都内でメディカルチェックを受けた後に会食。初めて臨む国際大会となるリオデジャネイロ五輪へ士気を高め、チームをけん引していく誓いを立てるとともに、あることを確認している。

「チームの雰囲気を壊さないようにやっていこう」

 日本サッカー協会から、塩谷と藤春の内定が発表されたのが6月14日。チームメイトたちから祝福されるなかで、藤春はMF今野泰幸からこんな言葉をかけられたという。

「先輩オーラみたいなものを出すとよくないぞ」

 今野はFC東京に所属していた2004年、アテネ五輪に出場している。チームにはGK曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)、MF小野伸二(当時フェイエノールト)の2人がオーバーエイジとして参戦している。

 結果はグループBの最下位で敗退。パラグアイとイタリアに連敗を喫した時点で決勝トーナメントへの道が閉ざされ、ガーナとの最終戦で一矢を報いるのが精いっぱいだった。いまでも苦い記憶として残るアテネ五輪を反面教師として、今野がアドバイスを送ってくれたと藤春は振り返る。

「アテネのときはオーラがすごすぎて、絶対にその人らに合わさないかん、というのがあって。サッカーそのものも変わったと、今野さんは言っていたので」

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