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代表 8年前

最強ドイツ代表を支える分析会社“プロゾーン”の正体【サッカーデータ革命最前線―01】

最先端のサッカーにおいてデータ分析はなくてはならないものだ。感覚や印象ではなく客観的事実の積み上げで見えてくるものは多々ある。それにおいて世界でも頭一つ抜け出ているのはドイツ代表だろう。結果を出し続けるために、データ分析はどこまで進んでいるのか。短期集中連載で最前線に迫る。(取材・文:本田千尋【デュッセルドルフ】)

シリーズ:サッカーデータ革命最前線 text by 本田千尋 photo by Prozone , Getty Images

ドイツ代表に“入って”いるプロゾーン

プレガー
プロゾーンでドイツ代表をサポートするティム・プレガー氏【写真提供:プロゾーン】

 ドイツ代表に入り込んで、包括的なサポートをする。世界の中で、分析会社「Prozone(プロゾーン)」だけが持っている強みだ。

 イギリスのリーズに本社を構えるプロゾーンは、その支社をドイツ北西部のデュッセルドルフに置く。ライン川沿いの閑静な住宅街に事務所はある。フランス、南アフリカ、中国など、広く世界に事務所はあるが、ドイツ支社はデュッセルドルフだけだ。

 常駐するスタッフは8名と事務所は小さい。しかしプロゾーンを、決して侮ることなかれ。各従業員の1人ひとりが、下はU-15のカテゴリーから、ドイツ代表の中にコンサルタントとして“入っている”のだ。

 シニア・コンサルタントのティム・プレガー氏は、ドイツ女子A代表とU-20代表を担当している。そして、全ての代表合宿や大会にコーチングスタッフとして帯同し、“中から”コンサルティングを行う。8月にリオデジャネイロで行われたオリンピックでも、金メダルを獲得した女子ドイツ代表を現地で“中から”サポートした。

 どういうことかというと、例えば代表チームが集合すると、必ずプレガー氏がいる。合宿の前には、ミーティングでフランクフルトのドイツサッカー連盟本部に行くこともある。

 遠征にはプロゾーンのスタッフとして帯同するが、ドイツ代表のスタッフと同じユニフォームを着用する。傍目からはプロゾーンの人間なのか代表チームの人間なのか、見分けはつかない。ひょっとすると、プレガー氏がプロゾーンのスタッフだということに気が付いていない選手もいるかもしれない。

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