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Jリーグ 8年前

【英国人の視点】福岡と湘南、残留へ厳しい状況も監督を継続させるべき理由

J1も終盤戦に入り、残留争いも佳境を迎えている。アビスパ福岡と湘南ベルマーレは、数字上厳しい状況にある。勝ち点は伸ばせていないが、ピッチ内ではしっかりと戦えている。英国人記者は両クラブの監督が来季も継続的に指揮をとるべきと説く。両指揮官はどのようなビジョンを持っているのか。(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

数字上は厳しい状況の福岡と湘南

井原正巳
井原正巳監督【写真:Getty Images】

 アビスパ福岡と湘南ベルマーレの今シーズンの運命は決まってしまったかのようだ。ともに他チームから大きく引き離されて順位表の最下部に沈み、トップリーグ残留にはもはや手遅れの感がある。

 2週間前の直接対決に勝利を収めたことで福岡は勝ち点で湘南と並び、両チームともにわずかな残留への可能性を残す状況となった。だが先週末は両チームとも白星ならず。アビスパはホームでヴィッセル神戸に1-4の敗戦を喫し、ベルマーレはアウェイでジュビロ磐田と0-0のドローだった。

 この結果、残された勝ち点が最大でわずか12ポイントとなったところで、湘南と福岡はそれぞれ残留ラインから8ポイントと7ポイント差。奇跡でも起きない限り、来季はJ2へ逆戻りすることになるだろう。

 興味深いのは、降格が決まった後で両チームの監督がどうなるかだ。福岡の井原正巳監督も湘南のチョウ・キジェ監督も苦しいシーズンを過ごしてはきたが、どちらも才能ある若手監督だ。2人が続投を望んでいるとしても、他クラブからのオファーはあるかもしれない。クラブが彼らに別れを告げることになるとすれば残念なことだ。

 井原監督はこの仕事が初めての監督経験だが、柏レイソルのコーチングスタッフの一員として過ごした5年間で評価を高めていた。ネルシーニョ監督を助け、2010年と2011年にはJ2とJ1での2年連続タイトル獲得に貢献している。アビスパを率い始めてからの約2年間にも、優れたポテンシャルを示してきた。

 J2での最初のシーズンは3連敗でスタートさせた元日本代表キャプテンだが、シーズン終盤にはアビスパを浮上させ、12試合連続の無敗を達成。8連勝でレギュラーシーズンを終えると、セレッソ大阪とのプレーオフでは87分のゴールにより劇的にJ1への昇格を勝ち取った。

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