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日本代表 8年前

【英国人の視点】劇的勝利もハリルJに余裕なし。豪州戦次第では“さらに大きな勇気”で軌道修正が必要に

イラク戦に辛勝した日本。劇的勝利ではあったが、浮かれていいわけではない。高いレベルで試合をコントロールできないことは明らかで、豪州戦はさらに厳しい戦いになる。選手たちも危機感を持っている。(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

ハリルJに強い反発力はあるのか?

日本代表イラク代表戦
イラク戦に2-1の勝利を収めた日本代表【写真:Getty Images】

 木曜夜のイラク戦に2-1の勝利を収めた日本代表については、「メンタルの強さ」や「勇気」が盛んに取り沙汰されたが、実際のところはそのどちらもピッチ上でさほど見せられていたわけではない。

 確かにヴァイッド・ハリルホジッチのチームは、終了間際のドラマチックな決勝点で勝ち点3をもぎ取った。だが、土壇場での劇的ゴールというものは必ず2つのことを示している。1つはチームに諦めない姿勢があること。もう1つは逆に、より効果的な形で試合を決めてしまう力がないということだ。

 サムライブルーが前回のホームゲームでUAEに敗れたこと、高いレベルで試合をコントロールできないことが慢性的な問題となりつつあることを考えれば、今のチームに特に強い反発力があるという見方は楽観的に過ぎるものだと思えてしまう。

「『ナイーブ』という言葉がよく使われるが、選手たちは非常に強い勇気を見せてくれたと思う。彼らがピッチ上で叫んでいたのはおそらく今回が初めてだった。最後の最後にそれが報われた」とハリルホジッチ監督は試合後に話していた。

「今日の試合が良い勝利だったとは思わないが、勇気を示した勝利だったと思う。世界で最も強いチームであっても、いつも美しく勝てるわけではない」

 それが事実であることは間違いないが、世界最高のチームであれば試合を支配し、状況に応じてリズムを調整することができる。それもまた、メンタルの強さと勇気を見せる方法のひとつだ。日本はUAEからもイラクからも先制点を奪ったが、どちらの試合でもそのリードを保つことができず、相手に反撃を許してしまった。

 火曜日のオーストラリア戦では、失敗を犯す余裕など全くない。メルボルンでの試合でホームチームに試合のペースを握られてしまえば、何も得ることなく帰国を強いられ、グループBの首位チームにさらなる遅れを取ることになってしまうだろう。

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