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日本代表 7年前

ハリル流への不安と危険性。選手は困惑と反省、指揮官との意識にズレ。なぜ問題なのか?

豪州に敵地で1-1、勝ち点1を確保した日本代表。数字を見ればアジア王者相手ということもあり、この結果は一定の評価ができる。ただ、この日のスタイルに困惑する選手がおり、反省点があったことも事実。ハリル流を推し進める上では危険性もともなう。(取材・文:元川悦子【メルボルン】)

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka , Getty Images

守備的な戦術。「ハッキリとカウンター。嫌ではない」、長谷部は前向き

長谷部誠
長谷部誠【写真:Getty Images】

「確かに何人かはまだ日本が一番強いと思っていますけど、そうではないですよね。アジアチャンピオンのチームとやるわけですから、強い気持ちを持って大きな仕事を成し遂げるつもりでやらないといけないと思います」

 11日の2018年ロシアW杯アジア最終予選第4戦・オーストラリア戦(メルボルン)を控えた前日会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は相手へのリスペクト発言を何度も繰り返したが、それは本番の戦い方の伏線だった。

 指揮官は勝ち点1以上を死守するために守備的な戦術を選択。相手にボールを持たせてカウンターを狙うという、いわば「W杯仕様」のサッカーでB組トップのチームに挑んだのだ。

 その戦い方は、前半はある程度機能した。開始5分に原口元気(ヘルタ)のボール奪取から長谷部誠(フランクフルト)、本田圭佑(ミラン)とつながり、最終的にはスルーパスに抜け出した原口がGKと1対1を制して左足を一閃。待望の先制ゴールを手に入れた。

 その後も高い位置からボール奪取を試みて守から攻への鋭い切り替えを駆使し、原口や本田が決定機を迎えるなど、前半はボール支配率が67対33ということも気にならないほど、日本が優位に立っていた印象だった。

 ところが、後半開始早々、相手左サイドバック、ブラッド・スミス(ボーンマス)の突破からのクロスに日本守備陣が反応しきれず、戻ってきた原口がトミ・ジュリッチ(ルツェルン)を後方から倒す形になった。

 これでPKを取られた日本はミル・ジェディナク(アストン・ヴィラ)に同点弾を決められ、そこからはラインがズルズルと下がり始める。その結果、相手に圧倒的に支配され、防戦一方の展開を余儀なくされてしまった。

「今日は相手に回させてからのカウンターをかなりハッキリとやった。そんなにボールを回されても危ないシーンは作られてなかったし、嫌だなという感覚はなかった」と長谷部は前向きにコメントした。

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