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Jリーグ 7年前

名波ジュビロ、最終節で勝ち取ったJ1残留。2人の “秘蔵っ子”がもたらした安定性と流動性

11月3日、明治安田生命J1リーグ2ndステージ第17節、ベガルタ仙台との一戦に臨んだジュビロ磐田。試合開始早々に先制点を奪うと、その後も粘り強く戦い、最終戦を勝利で飾った。サックスブルーのJ1残留を後押ししたのは、安定感と流動性。これらの要素をチームにもたらしたのは名波監督の采配と、2人の選手の存在だ。(取材・文:青木務)

text by 青木務 photo by Getty Images

サイドバックでプレーした宮崎智彦

名波浩
ジュビロ磐田の名波浩監督【写真:Getty Images】

 前半開始早々に先制し、規律のある守備で相手の行く手を阻む。後半は押し込まれる展開となったが、ボールへの執着心を見せる選手たちは最後のところで身体を張り、クリーンシートで試合を終えた。試合内容も1-0という結果も、およそ今シーズンのジュビロ磐田らしくない、手堅い戦いぶりだった。

 引き分け以上で自動的にJ1残留が決まる有利な状況ではあったが、勝利を目指すことで手にした降格回避だった。

 安定感と流動性。

 このふたつの要素を両立するような陣容を、名波浩監督は仙台との最終節で組んできた。最終ラインの一角に入ったのは宮崎智彦。今季のほとんどをボランチでプレーしてきたが、本職は左SBだ。スピード感溢れるオーバーラップがあるわけではない。クロスが持ち味というわけでもない。しかし、背番号13には危機察知能力に裏打ちされた高度な守備力がある。

 対面の相手をマークしながら、次にどこへパスが出てくるかの予測が的確で、その際のスライドも迅速。もちろん、中盤の底でもチームに欠かせないが、DFラインでプレーすることで守備能力が純粋に活きた。「久々だったし、楽しかった」と笑顔を浮かべた宮崎。心なしかいつもより声が枯れているようにも感じられた。ピッチの上では指示を出し続ける彼の姿があった。

「できる限りのことはやったかなと。(森下)俊とかアダ(イウトン)、(上田)康太とか(川辺)駿にうるさいくらいに声をかけ続けていた。前半はボールも動いていたし、守備に関しても常にコンパクトで、向こうのやりたいような攻撃もだいぶ防げていたと思う。その辺はうまくできた」

 周囲に正しい指示を出せるのは、それだけ状況を把握できているからこそである。味方を動かし、自身も最大限のパフォーマンスを見せる。プロとして当然のことを、宮崎はこの日も当たり前のように遂行したのだ。

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