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日本代表 6年前

森保Jに今こそ必要な「敢闘精神」。男子バスケ・フィリピン代表に学ぶ「努力」の本質

森保一監督率いるU-21日本代表は、インドネシアでアジア競技大会に参戦している。無事に決勝トーナメント進出を果たした彼らに、今必要なこととは。アジアを熱狂の渦に巻き込む他競技の試合で見られた光景にヒントがあったかもしれない。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

アジア大会、バスケでも大陸最高峰の激闘が

イェン・ギアオ
5人制バスケットボール男子フィリピン代表のイェン・ギアオHC【写真:Getty Images】

 インドネシアで開催中のアジア競技大会では、サッカーだけでなく様々な種目が実施されている。

 男子サッカーはグループリーグを終えてひと段落したため、21日は空いた時間を使って5人制の男子バスケットボールの試合を見に行くことにした。夕方16時開始だったフィリピン対中国のスタンドは、両国の熱心なバスケットボールファンによって隙間なく埋まっていた。

 試合展開も激アツだった。序盤はフィリピンが先手をとったが、徐々に中国も盛り返して一時は12ポイント差をつけた。ともにNBAプレーヤーを擁する激闘は終盤までもつれ、じわりじわりと追い上げたフィリピンがラスト3分で逆転に成功。しかし、最後は中国が脅威の粘りで5ポイント連取。追いすがる東南アジアの雄を振り切って、東アジアの巨人たちが82-80の激闘を制した。

 あと一歩のところで敗れたフィリピンの選手たちは、キャプテンのゲイブ・ノーウッドを除いて試合後の取材エリアを素通り。悔しさをあらわにしていた。だが、イェン・ギアオHC(ヘッドコーチ)はメディアに対し「これは我々にとって勝利と言っていい」と断言し、選手たちの敢闘精神を称えたのである。

「私は選手たちが今夜の試合で見せた努力以上のものを要求することはできない。とても勇敢だった。確かにジョーダン・クラークソンは、ここにいた誰よりも傑出しており、彼はその力を示した。だが、もし彼がいなくても最後の最後のポイントで勝利するチャンスは我々にもあったと思う。素晴らしい戦いぶりだった。私は選手たちを信頼している。私にとって、この試合は勝ったようなものだ」

 ギアオHCは唯一の敗因として「フリースローの少なさ」を挙げていたが、確かに「フィリピン 15:39 中国」というデータ通りで、それ以外にネガティブなことを口にしようとしなかった。ジョーダン・クラークソンというNBAプレーヤーが1人で28ポイントを挙げてチームを助けたにもかかわらず、あえて個人ではなく組織としての勇敢さを称賛し、感謝を述べる。

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