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なぜ4-4-2は主流であり続けるのか? 名DFが解説する守備戦術の本質【岩政大樹の守備解体新書】

text by 岩政大樹 photo by Editorial Staff

W杯において4-1-4-1や3バックが減少した理由

 ロシアワールドカップでもたくさんの国が4-4-2の守備体系を採用した。ここ最近のワールドカップでは、これほどまでに4-4-2が採用されていた印象はなく、ことワールドカップにおいては「なんだかんだでやっぱり4-4-2」に戻ってきたように感じた。

 日本代表もそうだったが、攻撃時や自陣での守備においては4-2-3-1を採用している場合でも、守備のスタートは4-4-2で始めている国が大半だった。4-1-4-1(4-3-3)や3バックはワールドカップに限っては減ってきたと思う。

 その要因として挙げられるのは、まず、相手のビルドアップに対してツートップでプレッシャーをかける必要性が高まってきたことだろう。

 センターバックやゴールキーパーから意図的にボールを動かしていくことが“当たり前”となってきている現代サッカーでは、ビルドアップのスタート地点に規制をかけなくては簡単に自陣への侵入を許してしまう。さらに、前線が一枚だと、センターバックからボランチへのパスコースを遮断することができないため、ピッチ中央のセンターサークル付近で、配球に最も優れた相手選手(ボランチ)に自由にボールを持たれてしまう。

 その状況では、意図的に誘導してボールを奪うことは難しくなり、ボールを奪う場所を定められない=攻撃のスタート位置を定められない、となってしまう。

 そのためのツートップ、そして残りの8人をどう配置するかというところで結局、4人を2列に並べる4-4-2が最も合理的で簡単なのだ。さらに、時間的制約の中で選手たちに最も早く守備の原則や約束事を落とし込みやすいのが4-4-2の利点で、短期決戦のワールドカップで多くの国に採用されたもう1つの大きな理由だろう。

 サッカーはどんどん高速化している。プレスの強度は高まり続けていて、プレーする選手に求められるのは瞬時に状況を把握し、判断を下して、それを素早く正確に実行する能力だ。

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