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渡辺皓太、移籍の真意「マリノスじゃなかったら来ていない」。相思相愛の新天地で決意新た

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

渡辺皓太
東京ヴェルディから横浜F・マリノスへ移籍した日本代表MF渡辺皓太【写真:舩木渉】

 横浜F・マリノスに今夏5人目の新戦力がやってきた。J2の東京ヴェルディから新たに加入することが決まったばかりの日本代表MF渡辺皓太が9日から新天地での練習に本格合流している。

 練習後に取材に応じた渡辺は「レベルの高い選手が多いし、1つひとつの練習でも緊張感があって楽しかったです」と語り、マリノスで始まった新たな挑戦に胸を躍らせているようだった。

 6月にはブラジルで開催されたコパ・アメリカに日本代表として帯同したものの、怪我の影響もあって出場機会はなかった。だが、帰国後に監督交代のあったヴェルディでは先月19日に新キャプテンに就任し、今月1日には入籍も発表したばかりで、誰も移籍の可能性を想定していなかっただろう。

 下部組織時代から過ごしたクラブから複雑な事情の絡むタイミングの完全移籍となり、「だいぶ悩みました。そんなに簡単には決められなかった」と渡辺は言う。それでも「誰にも話していないんですよ」とオファーがあったことはチームメイトにも明かさず、自分の中で徹底的に悩み、考えを整理しながら、永井秀樹監督ら一部の人間に相談しただけだったという。

 昨年夏までヴェルディに在籍していた先輩の日本代表DF畠中槙之輔も「僕も(クラブの)発表で知った」と驚く電撃的な移籍劇だった。渡辺にとっても「まさか来ると思っていなかった」オファー。しかし「マリノス」だったからこそ、このタイミングでの移籍を決断したと20歳の若武者は語る。

「ヴェルディには本当にお世話になって、ヴェルディをJ1に上げる気でいて、でもどこかでチャレンジしたいという気持ちがあって、そう考えている中でマリノスから話があった。自分自身マリノス(の試合)はすごく見ていたし、自分もその中でやるイメージはしていて、マリノスじゃなかったら来ていないくらい、マリノスには興味を持っていたし、そこから話が来たので、チャレンジしたいな感じました」

 渡辺の目にマリノスが展開するアタッキング・フットボールは「魅力的」に映っていた。先に述べた通り、その中に入って自分がどうプレーするかのイメージもすでに出来上がっている。

「中盤で出た時には運動量が求められるし、ポジション関係なく流動的にどんどん飛び出していくことは自分が得意なプレーとして持っているので、攻撃も守備も広い範囲で仕事をしていきたいです」

 背番号は先月大宮アルディージャに移籍したイッペイ・シノヅカが着けていた「26」に決まった。すでに選手登録も完了し、公式戦に出場することも可能。まずは層の厚いマリノスの中盤で、頭の中にあるイメージを具現化してチャンスを掴むためにアピールしていかなければならない。

 渡辺は「本当にここから、一からスタートだと思うし、今までのヴェルディでのプレーは一切関係なくて、マリノスのファンとか監督やチームメイトに認めてもらえるように、一からアピールしていきたいという気持ちです」と、これから始まる新たな挑戦に向けて決意を新たにしていた。

 コパ・アメリカで挫折を味わった20歳は、「普段の練習からレベルの高いところに来て、もちろん日本代表クラスの選手もいて、そういう選手たちから毎日吸収して、自分の基準を上げていければいい」と意欲にあふれている。移籍において「1つの決め手」となった先輩の畠中のように長足のステップアップを遂げても不思議ではない。

 ブラジルで共に戦った三好康児の欧州移籍も噂される中、マリノスに頼もしい東京五輪世代のホープが加わった。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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