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日本代表、なぜ久保建英を起用しないのか。輝き失う堂安律…謎だらけの采配と人選

text by 編集部 photo by Getty Images

久保建英
久保建英【写真:Getty Images】

【タジキスタン 0-3 日本 カタールワールドカップ・アジア2次予選 第3節】

 日本代表は15日、2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選の第3節でタジキスタン代表と対戦し、3-0で勝利している。これでアジア2次予選3連勝とした日本代表は、グループF組で単独首位に立つことになった。

 前半は相手のしっかりとした対応に手を焼き、得点を奪うことができなかった森保ジャパン。後半に入ってFW鎌田大地をトップ下のような位置で起用し、MF南野拓実を最前線に置くことで攻撃の形がやや発揮できるようになり、結果的に南野の2得点とFW浅野拓磨の得点で合わせて3点を奪ったが、恐らく今回のアジア2次予選で最も苦戦し、そして課題が浮き彫りになった試合と言えるだろう。

 森保一監督の選手起用にも疑問が残った。とくに2列目の人選だ。日本代表はここまで4-5-1のフォーメーションを基本とし、ほぼ主力を固定した状態で戦ってきたが、その分相手には簡単に対策されてしまう。AFCアジアカップ2019の決勝・カタール戦、そして今回のタジキスタン戦でもうまく対策され、苦戦を強いられた。だからこそ、森保監督は新たな選手をスタメンで起用し、可能性の幅を広げる必要があった。

 実際、10日に行われたモンゴル戦ではMF伊東純也を右サイドハーフで起用し、大当たりだった。背番号14のスピード、クロスの質は日本代表の新たな武器になり得るほど脅威となっており、6-0の大勝は彼の力なくしては果たせなかっただろう。スタメンに新たな選手を起用し、その選手が活躍すれば日本代表にとっても大きなプラスだ。

 しかし、森保監督がタジキスタン戦に送り込んだ2列目の選手はMF中島翔哉、南野、MF堂安律といったいつもとは変わらぬ顔ぶれ。モンゴル戦で好調だった伊東、最も出場が期待されていたMF久保建英の名前もなかったのだ。

 そして、いざ試合が始まると日本代表は苦戦。南野は結果的に2ゴールを挙げ好調ぶりをアピールしたが、中島の守備は相変わらず向上しておらず、堂安は利き足である左足を封じられると何もできなくなる。縦に行くにも単調なリズムなので相手に囲まれる。よっぽど技術力の高い久保を起用した方が良いのは序盤から明らかだった。

 アシストを記録したもののそれほど存在感を示せていなかった中島は64分に浅野と交代でベンチへ下がった。妥当だ。しかし、右サイドでもはや輝きを失っていた堂安はまだ出ている。久保にはまだ声が掛からなかった。

 ようやく森保監督が久保をピッチに送り出したのは終了間際の87分であった。遅すぎる。しかも交代するのは南野だ。疑問だらけである。

 しかし、久保は短い時間でもさすがの存在感を放つ。AT、左サイドでボールを受けた久保は相手DF2人を巧みなコントロールで外しながら最後は浅野へ右足でクロス。決定機を生み出した。久保に技術があるのは誰もがわかっている。マジョルカでのプレーを見ていれば、このくらいのことは当たり前にやることはわかっている。にもかかわらず、森保監督はなぜこんなにも中途半端な時間に使ったのか。やはり理解に苦しむ。

 久保を起用することで守備面での懸念はあるかもしれない。ただ、同選手は決してディフェンスが下手であるわけではない。マジョルカでも奮闘している。フィジカルではどうしても劣るところがあるが、だからこそこうした舞台で試す必要もあったのではないか。

 仮に森保監督に久保をスタメンで起用する考えがないならば、いまはクラブでのプレーに集中させるべき。マジョルカへのレンタル期間は久保にとって今後の運命を占う上で重要なものとなるからだ。現在のチームでは攻撃の中心的存在になりつつあるといっても過言ではないが、だからこそ今はチームメイトと多くの時間を共有し、より久保中心のチーム作りを加速させていくことも必要となるはず。その貴重な時間を代表チームが潰してはならない。

 10月シリーズでは、メンバー固定による課題が浮き彫りとなった。DF冨安健洋も負傷し、最もチャンスを与えるべき男・久保は2試合でたった5分間の出場に留まった。森保監督の采配や人選などにかんしては、間違いなく改善が必要である。

【了】

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