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ブンデスリーガの消えた逸材たち。天国から地獄へ…才能を開花させられなかった5人の選手

才能を高く評価されていても、真の意味でスターになれるのはほんのひと握り。若くして華々しいデビューを飾りながら、サッカー界の厳しい競争に晒された末に才能を開花させられないまま転落していった逸材たちは無数にいる。今回は21世紀に表舞台から儚く消えていったドイツ・ブンデスリーガ出身の5人の“元逸材”たちを紹介する。(2020年掲載の記事を再編集したものです)

シリーズ:編集部フォーカス text by 編集部 photo by Getty Images

度重なる負傷で後退し続けるキャリア

ヤン・キルヒホフ
【写真:Getty Images】



ヤン・キルヒホフ(ドイツ)

生年月日:1990年10月1日
現所属クラブ:KFCユルディンゲン05(ドイツ3部)

 フランクフルトの下部組織育ちで、マインツで台頭した長身センターバックは2013年夏に絶対王者バイエルン・ミュンヘンに引き抜かれる。だが、この移籍が転落の始まりだった。

 新天地でほとんど出番を得られなかったキルヒホフは、2013年末から1年半の期限付き移籍でシャルケに貸し出される。すると年明けに足首のじん帯を負傷して約4ヶ月の離脱を強いられ、復帰して迎えた2014/15シーズンの合宿初日にも足首を痛めてプレシーズンを棒に振る約1ヶ月の離脱となった。

 ここから負傷との終わりなき戦いが始まった。2014/15シーズン後半戦にはアキレス腱を痛めて、それ以降のリーグ戦出場がないままバイエルンに復帰。結局シャルケで過ごした1年半でピッチに立ったリーグ戦はわずかに16試合にとどまった。

 バイエルンに戻っても、当然ながら居場所はなく2015/16シーズン後半戦にプレミアリーグのサンダーランドへ1年半契約で移籍する。イングランドでは守備的MFとして起用され、最初の半年は残留争い中のチームを懸命に支えた。

 ところが迎えた2016/17シーズンは、またしても負傷との戦いだった。前半戦にハムストリングを2度痛めて計2ヶ月ほど離脱し、2016年末に外側即副じん帯を断裂してシーズン終了。そのまま契約満了となってサンダーランドを退団した。

 無所属になって半年、負傷も癒えたキルヒホフは心機一転イングランド2部のボルトンと短期契約を結ぶが、度重なる負傷で蓄積されたダメージの影響かパフォーマンスが上がらず。2018年夏に再びフリーとなり、ドイツ2部の1.FCマグデブルクと契約するまで半年間職場が見つからなかった。

 ドイツに戻っても負傷癖は克服できず、筋肉系の負傷で短期間の離脱を繰り返し、結局リーグ戦は10試合の出場にとどまった。マグデブルクを退団した今季はさらにカテゴリを下げてドイツ3部のユルディンゲンに所属している。トップレベルに上り詰めることができた才能と、失ってしまった時間を取り戻すことはできなかった。

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