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優秀な若手がJリーグに来なくなる? TC請求権とは何か?

text by 小澤一郎 photo by Masaru Goto, Kazuhito Yamada

中京大中京はTCを得ていない


宮市は中京大中京から直接アーセナルに加入【写真:山田一仁】

 ただし、宮市のアーセナル入りにおいて、中京大中京高校は27万ユーロのTCを得ていない。この背景について、当時中京大中京高校で監督を務めていた道家歩氏をよく知る代理人はこのように説明する。

「欧州クラブは、日本の学校を『育成機関』と認識していませんから、高校や大学にTCを払う気がない、払わないというのが基本的なスタンスです。私も中京大中京の関係者から『TCはもらえなかった』と聞いています。ただ、そこは仕方なくて、日本の学校というのはそこまでしてお金を獲ろうと思っていません」

 とはいえ、実質的に「プロ育成機関」として機能する高校、大学がある以上、今後Jリーグではなくダイレクトに海外クラブに選手を送り込んだ上で、FIFAルール上のTCを請求するような学校が現れないとは限らない。

 というよりも、すでに一部の大学ではJクラブに選手を送って「120万円」のトレーニング費用を得るより、ダイレクトに欧州に選手を送って「36万ユーロ(約4500万円)」のTCを得ようと考え始めている。

 今後も宮市亮や今年ドイツに渡った木下康介(横浜FCユース→フライブルク)のように高卒でJリーグを経由することなく海外移籍に踏み切る若手も増加するはずで、Jリーグの年俸上限(C契約で480万円上限)のみならず、アマチュアとプロの移籍におけるTC格差もJクラブにとっての足かせとなりかねない。

【了】

記事提供:サッカーを読む! Jマガ

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