FIFAワールドカップ(W杯)2026に出場する予定のイラン代表だが、米国との軍事衝突が始まったことで、不参加の可能性が高まっている。出場の打開策として試合会場変更を国際サッカー連盟(FIFA)に要請したが、却下された。FIFAが受け入れなかった理由には、非常に複雑な状況になることの懸念があったと、米紙『ニューヨークタイムズ』が18日に報じている。
本当にワールドカップは開催できるのか?
まず、時系列に沿って見ていくと、カナダ・メキシコ・米国の3カ国共催で開催されるW杯の組み合わせ抽選会が昨年12月に行われ、各4チームずつ分かれた12グループの組み合わせが確定した。
イランはベルギー、エジプト、ニュージーランドと同組のグループGに入り、すべて米国内のスタジアムで行われることが決定。
イランはニュージーランド戦とベルギー戦をカリフォルニア州イングルウッドで行い、エジプト戦をシアトルで行う予定だ。
それを踏まえ、2月下旬にはイランの活動拠点が、アリゾナ州ツーソン郊外のキノ・スポーツ・コンプレックスに決まっている。
しかし、米国がイスラエルと共に2月28日、イランに対して大規模な軍事作戦を実施したことにより、事態は急変した。
それでもイランはW杯出場を望んでいるが、前提条件として選手たちの安全が保証されることを求めている。
それに対し、主催国の一つである米国のドナルド・トランプ大統領は、イラン代表の参加を歓迎しつつ「彼ら自身の命と安全を考えると、出場は適切ではない」との見解を示していた。
それを受けて、イラン・イスラム共和国サッカー連盟のメフディ・タージ会長は、米国で開催予定のイランの試合をメキシコに移す代替案をFIFAに提示し、交渉を行なった。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は門戸を開いており、実際に試合会場変更が実施されれば、受け入れる姿勢を示している。
ただ、問題はグループリーグ3試合だけでない。
イランが首位で通過すれば、決勝トーナメント1回戦はシアトルとなる。2位で通過すれば、ダラスへ移動することになる。
そうした状況を踏まえ、FIFAはイランの要請を却下した。
W杯開幕まで約3カ月間しかなく、ほとんど時間がないことから、簡単には受け入れられないのだ。
もし、イランの試合が米国からメキシコに変更されると、最も大きな影響を受けるのはサポーターとなる。
すでに多くの人々が航空券、宿泊施設、チケットを予約しており、当然ながら怒りと混乱、大きな経済的損失に繋がることは間違いない。
特にエジプトのサポーターは、最も不便を強いられることになる。
カナダのバンクーバーと米国のシアトルで試合が予定されているため、グループリーグの各試合ごとに異なるビザが必要だ。
そこにメキシコも加わるとなると、追加のビザの手配が必須となり、ファンにとって大きな負担となる。
FIFAとしては、少なくとも3試合を中止しなければならず、販売済みのチケットは払い戻しの上、新たな会場で再販売する必要がある。
政治介入を嫌うFIFAにとって、政治的理由で変更を余儀なくされるという前例を作ることは絶対に避けたいだろう。
そうした状況を考慮し、同紙は「もし試合をメキシコへ移すことが現実的でない場合、イランが大会からの撤退を最善の選択と判断する可能性もある。
4月30日にバンクーバーで開催予定のFIFA総会は、本大会の出場チームに関する最終的な変更を検討するうえで、重要なタイミングとなるだろう。
ただし、W杯の規定にはイランの代替チームについて明確な指針がほとんど示されていない。
それまでには大陸間プレーオフや欧州プレーオフも終了し、新たな出場国が出そろう見込みだ。
現時点では、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長を含め、6月11日に開幕するW杯にイランがその48チームの一つとして名を連ねるかどうかは、誰にも分からない状況にある」と伝えている。
中東情勢悪化は、夏のW杯の形さえ変えるほどの、非常に大きな出来事になるかもしれない。
