今季限りでの現役引退を表明し、タイトルを獲得した日テレ・東京ヴェルディベレーザの岩清水梓【写真:© WE LEAGUE】
日テレ・東京ヴェルディベレーザは4月29日、2025/26 WEリーグ クラシエカップ決勝でRB大宮アルディージャWOMENをPK戦の末に1-3で下し、初優勝を飾った。2日前に今季限りでの現役引退を表明していた岩清水梓は延長後半から途中出場。PK戦ではキッカーを務め、成功させるなど、短い時間でもしっかりと役割を果たした。
「最後の最後もう1回だけやりたいと思って挑んだ試合でもあった」
「めちゃくちゃ本当に欲しかったタイトルというか。辞めますと表明させてもらって、いろんな人に足を運んでもらいたかったんですよ。だから、このタイミングで言ったのもあります。きょう多くの方が来てくれて、格好つけたかったの(笑)。最後にベレーザでタイトルを取りたかった」
タイトルを獲得したことへの喜びは、ほころんだ表情と弾んだ声からも伝わってきた。
なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)では、2011年のFIFA女子ワールドカップで世界一を、日テレ・東京ヴェルディベレーザでもWEリーグや皇后杯で優勝と、数々のタイトルを掴んできた岩清水梓。
今季でベレーザ一筋25シーズン目となるが、岩清水が獲得したことがなかったのがWEリーグ クラシエカップだった。
「カップ上げを今まで長いことやらせてもらって、最後の最後もう1回だけやりたいと思って挑んだ試合でもあったので、試合序盤に失点してからもずっと“マジでマジでお願い!”と思って、ウォーミングアップしていました」
両者にとって、初のクラシエカップのタイトルを懸けた試合はどちらも譲らなかった。
開始早々、3分、RB大宮アルディージャWOMENの西尾葉音に先制点を許し、前半を1点ビハインドで折り返した。
後半の51分、小林里歌子が強烈なシュートを叩き込み、延長戦に突入。延長前半の100分、北村菜々美がこぼれ球を押し込み、勝利を手繰り寄せたかに見えた。
ところが、延長後半の114分、大宮の阪口萌乃にヘディングシュートを決められ、2-2の同点に。その直後に岩清水はピッチに送り込まれたが、120分でも決着はつかなかった。
迎えたPK戦。楠瀬直木監督は「トレーニングでPKが非常に上手い。精神的に安定している選手で、『岩清水がここで外さねえだろう』と思って」と岩清水を2本目のキッカーに指名した。
岩清水は狙い通りに上方向に蹴ったが、ボールはクロスバーを直撃。
「マジで吐きそうだった(笑)」岩清水梓がPK戦を回想

日テレ・東京ヴェルディベレーザの岩清水梓はPK戦で2本目のキッカーを務めた【写真:© WE LEAGUE】
「当たった瞬間、音を聞いた瞬間、『おっ、やばい。死んだ。終わった!』と思ったら、本当に申し訳ない。入れてもらって」と振り返ったように、相手GKの背中に当たり、ボールはゴールに吸い込まれていった。
「練習も結構、確率が良かったんですよ。自信はあったんですけど、あれはマジで吐きそうだった(笑)。めっちゃ緊張した。自分がその役割になるとは思っていなかったんですけど、みんなの疲労的なことを考えると、自分が蹴った方が良いというのもあったので、そこは自分も行きますというふうに言いました。でも、ああなるとは思ってなかった」
岩清水の前に蹴った大宮の選手は偶然にもクロスバーに直撃して、失敗していただけに、サッカーは何が起こるかわからない。運も味方につけたということだろうか。
「サッカーの神様っているんですね、本当に。澤(穂希)さんもよく言っていたから、サッカーの神様が見ていると実感しました」
今季限りで現役を引退する岩清水には、そのサッカーの神様が微笑む時間はまだ残されている。
チームはAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)の準決勝に進出しているため、有終の美を飾るチャンスがある。
「シーズンが終わるまでにはもう1回、トロフィーを掲げるチャンスもあるので、最後の試合がアジアの決勝で最後にトロフィーを上げられたら、それは自分の(中で)一番嬉しいシーンにはなりますけど、そんなに簡単ではないこともわかっています。最後に自分やチームがやりきった形で終えられたらいいかなと思っています」
(取材・文:竹中愛美)
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