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Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法

監督の立場で見る“現場のリアル”
【著者】城福浩(ヴァンフォーレ甲府監督)

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監督はどのようにチームを作り上げるのか?

監督はどういったことを思考し、どのように決断を下しているのか。ヴァンフォーレ甲府で指揮を執る城福浩監督が、FC東京監督時代、U-17日本代表監督時代に培われたものを実例として、チームを躍動させる“ロジカルな思考法”を公開。

―本書プロローグより―
監督というのは、孤独な職業です。
監督は現場におけるすべての決定権を握っています。だからこそ、そこで起きるすべてのことに対して、監督は責任を負わなければなりません。(略)
選手をメンバーから外せば、選手生命を脅かすことにもなり得ます。結果が伴わず、チームが低迷すれば、コーチングスタッフやクラブスタッフの生活さえ脅かしてしまうかもしれません。
しかし、だからこそ、成功したときの喜びは格別です。あの爆発的な喜びを一度でも味わってしまうと、監督という職業が病みつきになってしまいます。

≪目次≫
PROLOGUE 監督とは―重圧と喚起の狭間で

CHAPTER1 チーム編成論
チーム編成にかかわれるかは就任が決まる次期次第/選手の獲得が本格化するのは12月/選手補強は情報戦であり、時間との戦い/選手にはポジションの確約は絶対にしない/「プロヴィンチアの象徴」というフレーム/長友と今野の特徴あるアンケート回答/ヴァンフォーレ甲府で大事にしたい「城福流」/クラブのストーリー×選手の枯渇感/キャプテンを誰に任せるか/よき理解者をキャプテンに/変わる象徴としてのキャプテン/マルキーニョスは戦術に合った最高の例/チームを高みに導く異分子の存在

CHAPTER2 マネジメント論
プレシーズンで大事にすべきこと/選手へのスタンダードの示し方/理想は無意識に体が動くレベル/ザッケローニのスタンダードの示し方/V・バルデスを褒めたグアルディオラ/スタンダードの時計の針は右に、左に/公式戦の翌日に優先すべきは控え組/成果と課題を見つめる週前半/対戦相手の対策を取り入れる試合2日前/選手に見せる映像は約12分/西村ジャパンでのスカウティング経験/スタメンを変えないことのプラスとマイナス/勇気を持って次のステージに着手する/コンバートで選手の成長を促す/2年目に決断した今野のセンターバック起用/「もうひとつの可能性」は無責任には探れない/帰属意識を植え付ける難しさ/限られた時間のなかでの選手の選択/トレーニングマッチも無駄にできない緊張感

CHAPTER3 采配論
自分達の戦い方や継続性をより大切に/「選ぶ」ということは「外す」ということ/スタンドにいるコーチと無線で連係/ハーフタイムは実質3~4分/長身FWを簡単に代えられない理由/試合経過によって交代選手の役割は明確になる/スーパーサブはベンチから送るメッセージの典型/唸らされたO・オリヴェイラの采配/新人ボランチをサイドバックに移す大胆さ

CHAPTER4 戦術論
ポゼッションサッカーにこだわる理由/バックステップこそポゼッションの肝/チャンスを逃し続けるバルセロナ/「お互いの特長を活かす」という共通理解/パターン練習では身に付かない「3人目の動き」/アネルカの後頭部を見ていたギグス/サイドから攻めることのメリット/ゲームメーカーもサイドでプレー/サイドに人数を割けばどこかが薄くなる/相手をヘッドダウンさせてこそプレッシャー/ボールが「誰のものでもない」ときに/支配率が高ければ攻守の切り替えも早くなる/どの監督も「集結」する前に仕留めたい/50センチメートル単位でポジションを修正するのがプロ/ラインコントロールの際のそれぞれの言い分

CHAPTER5 システム論
システム論はなぜ、熱く語られるのか/システムありきで陥りやすい罠/監督には多かれ少なかれ得意なシステムがある/「裏」を狙い、「時間」を作り、「幅」を取る/68×105メートルを有効に使うバルセロナ/「最低人数」で考えられた4バック/「ここで1枚余らせる」と宣言する3バック/幻に終わったFC東京時代の3バック/同じ「4バック+2ボランチ」でも形はさまざま/マンツーマンからゾーンへ移行するなかで/4-4-2と相性の良い4-1-2-3/ACミラン、ユベントスに見るアンカーの違い/“裏切れる”ほど理解を深められるか/バルセロナでは数字の羅列は意味を為さない/パーフェクトなシステムなど存在しない

CHAPTER6 育成論
指導者の資質はプロも育成年代も変わらない/親にもスタンダードを示す/「早熟」「晩成」の選手を諭し、励ますことができるか/親の視線こそ指導者にとってのプレッシャー/「捨てているものがある」ことを自覚する/全国のクラブに多様性があったほうがいい/Jユースや無名校の選手ばかりの代表チーム/「地元の王様」たちを闘う集団へ/五輪代表選手たちのリバウンドメンタリティ/上手いだけでは、国を背負えない/高体連出身者がこれまでのA代表に多い理由/指導者の進歩なくして選手の進歩はない

EPILOGUE 現役監督が本を出すことになった経緯

城福 浩

1961年3月21日生まれ。徳島県出身。徳島県立城北高等学校時代にワールドユース代表候補に選ばれる。早稲田大学卒業後、富士通(現川崎フロンターレ)に入社。日本リーグ2部及びJFLでプレーし、1989年に現役引退。富士通のコーチ、監督を務めた後社業に専念、管理職を経て、東京ガスへ。1999年、JFAナショナルトレセンコーチに就任。2006年、U-16日本代表監督としてU-17アジア選手権で優勝し、2007年のU-17ワールドカップに出場。2008年から2010年までFC東京の監督に就任。2009年ヤマザキナビスコカップ優勝。1年間の充電期間中には、テレビ・ラジオ出演、雑誌・新聞連載、メルマガ執筆、イベント出演など精力的に活動する。2012年からヴァンフォーレ甲府の監督に就任。

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