セレッソ大阪監督レヴィー・クルピに聞く、アタッキングフットボールの真髄(前編)

セレッソ大阪の攻撃サッカーはいい意味で不安定だ。大負けするときもあるが、はまれば圧倒的な攻撃力で相手をねじ伏せる。何より彼らのサッカーは自由で、それ故に多くの人を魅了する。決して潤沢な予算を持たないセレッソはいかにして攻撃のマインドを築き上げたのか。アタッキングフットボールの真髄に迫った。

2012年12月22日(Sat)16時05分配信

text by 前田敏勝 photo Kenzaburo Matsuoka
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【サッカー批評issue53】掲載

 今季でセレッソ大阪にて5シーズン目の采配となるレヴィー・クルピ監督。香川真司、乾貴士、清武弘嗣ら若手を積極的に登用しつつ、創造性あふれる攻撃サッカーをチームに浸透させ、J1に復帰した昨年はいきなり3位に入り、ACL出場権を獲得。今季も、香川、家長昭博、アドリアーノら主軸が抜けたなか、宿敵ガンバ大阪を倒して初出場のACLでベスト8という結果を残した。

 茂庭照幸、播戸竜二といったベテランの能力を再び引き出し、ガンバや千葉では伸び悩んだ倉田秋の才能を開花させ、丸橋祐介、扇原貴宏、杉本健勇ら育成組織出身の若手も躊躇なくピッチへ送り出すなど、選手のセレクトにも長けた指揮官。その戦術は、選手の自主性を最大限尊重したものだ。イレブンに自由を与えることで、豊かな発想を引き出し、観る者を魅了するサッカーを、ユーモアあふれるブラジリアンは志向している。

選手の特長を活かすためのフォーメーション

「私のフィロソフィー(哲学)を語る前に、まず、特長を持った選手たちがいて、初めて理想としたサッカーに近づけるわけで、選手の特長を見極めて、それができるかどうか考えることが必要になります。私のやるべきことは、このチームに、『勝者』と呼べるような(メンタリティーの)チーム作りの根っこの部分を植え付けること。試合をする以上勝たなければいけないし、そういう強い意識を持ったチームを作らなければいけない」

[図]セレッソ大阪2011年基本布陣(4-2-3-1)

セレッソではリスクを負って両SB が攻め上がることがしばしばある。背後のスペースが空いてしまうが、茂庭などのスピードのあるCB がそこをカバーする。

――香川、乾、清武らは、セレッソで飛躍して、日本を代表する選手たちに成長しています。そういった目利きというところでは、レヴィー監督には直感的なものがあるのでしょうか?

「見てすぐに分かる選手は何人かいます。今でいうとタカ(扇原)。彼も新しい世代だが、試合にどんどん出て行ける能力を十分に兼ね備えています。あと、(杉本)健勇もプロとして十分にやっていけるのがパッと見てわかるような選手の1人。今、2人の名前をあげましたが、他にもたくさんそういうケースがあります。

 我々は(ビッグクラブに比べて)資金力が足りないため、選手が年末やシーズン中に抜けざるを得ないというのが現状。それでも、我々にも当然クリエイティブな部分が求められていますし、そこで私は若い選手を起用していきます。それは大きなリスクを伴う部分もありますが、私はその部分では運があったと思いますし、若い選手を起用したとき、応えてくれる選手が今まで多かったと思います」

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