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編集日記 11年前

サッカークラブの社長が熱くなるとき。【川口昌寿 週刊パワープレー】

今号の『サッカー批評 issue 60』では、清義明氏による嘉悦氏のインタビューを通じて、クラブがいままさに問われている社長の経営手腕について話を聞いています。プロサッカークラブの社長が熱くなるときとは?

text by 川口昌寿

横浜F・マリノス社長 嘉悦朗氏に訊く

 横浜F・マリノス。Jリーグ発足から20年、J1リーグ年間優勝3度を遂げる名門でありながら、04年以降は中位に甘んじています。それでも12年は4位と、来季への期待を十分に残しました。しかし、経営的な側面を見れば、11年度の赤字決算、およそ10億円の累積損失を抱えています。

 1999年、倒産寸前の危機にあった日産自動車(株)。再建にあたり、「日産リバイバルプラン」を打ち出したのが、ルノーからの出向してきたカルロス・ゴーン氏(現日産代表取締役社長兼CEO)でした。その下で嘉悦朗氏は再建プロジェクトに尽力し、当時の最年少執行役員に就任するにいたった。日産の業績回復にいたるまでの手法の導入、実行といったプロセスを中枢で手掛けてきた男であり、現横浜F・マリノスの代表取締役社長です。

 今号の『サッカー批評 issue 60』では、清義明氏による嘉悦氏のインタビューを通じて、クラブがいままさに問われている社長の経営手腕について話を聞いています。

 Jリーグで施行された『クラブライセンス制度』。2012年度からの3期連続赤字と2014年時点での債務超過のクラブは、成績いかんによらず、Jクラブであり続けることが許されません。いわば、現状のマリノスはJクラブ失格ということになります。

ただ、横浜の赤字決算の根底には、「問題をうやむやにしてしまうような補填はやめています」との嘉悦社長の言葉を借りれば、2011年度から親会社の補填に頼るだけでない経営に進んでいる、というクラブの明確な意志表明でもあると思いました。

 今後、いかにクラブとして観客動員数やグッズ収入を増加させ、アカデミー事業を活性化していけるのか。そして、小野裕二選手のスタンダール移籍のように、現存戦力とのバランスを見ながら、有望な若手選手を放出しどのように移籍金を得るか。これからはこうしたクラブの成績に直接の影響を及ぼしかねない、シビアな移籍ビジネスもいっそう必要となってくるはずです。

 詳しくは本紙に掲載しているので割愛しますが、嘉悦社長はチームが僅差でのゲームで競り負ければ、悔しさを身体全身であらわにすると話してくれました。クラブのトップが誰よりも真剣にチームを応援し、愛している。その姿勢なくして、重責を担うクラブ再建の旗振りは決してできないのではないでしょうか。

 今回、取材から嘉悦社長の掲げる経営ビジョンと、貴重な社長の素顔を感じられたように思います。ぜひ、熱き社長の言葉をご一読ください。

【了】

『サッカー批評issue60』
定価980円

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