移籍制度の変更は日本サッカーに何をもたらすのか

2013年01月29日(火)10時29分配信

text by 秋元大輔 photo Kenzaburo Matsuoka
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なぜ主力選手は複数年契約を拒むのか

 新ルール施行後、主力選手と契約延長することで0円移籍を阻止するという防衛策を取れずに草刈場となってしまったクラブに対し、その強化手腕を問う声も上がったが、それについて松浦氏は明確な回答を示してくれた。


プロ契約の契約期間開始日を含む年度の2月1日(同一クラブのユース、Jrユース出身選手は アカデミーに登録された期間から)から満21歳の1月31日までの期間が「トレーニング期間」と定められ、満23 歳の1月31日直前の1月1日までの移籍に「トレーニング期間」に応じたトレーニングコンペンセーション(TC)が発生する。「トレーニング期間」から計算されるTC は、移籍先のカテゴリーによって計算額が異なり、図の通り。ただし、Jr ユース年代の「トレーニング期間」については一律100 万円と計算額が決まっている。

「主力選手の0円移籍が起きたケースは、実際には所属クラブが契約延長を打診したものの、選手側に拒まれた可能性が非常に高い。一般的に、まだまだ勝負できると思っている若い選手や主力選手は単年契約を求める傾向が強く、20代後半に差し掛かり現在のチームで現役を全うしたいと考え始めると複数年契約を求めるようになります。一方、チームの思いは逆で、有望な若手選手とは複数年を結びたがり、ベテラン選手には複数年を提示しなくなる。選手とクラブの間にはそうした思惑のギャップが存在するのです」

 なるほど、草刈場となってしまったクラブのフロントもただ指をくわえて0円移籍させていたわけではないようである。複数年契約を拒まれてしまえば、もはや選手をプロテクトする術はクラブにはないのである。

 0円移籍を防ぐためには複数年契約を結ぶしかないが、選手側に複数年契約を拒まれるリスクが常につきまとう以上、今後は育成補償費(トレーニングコンペセーション)で稼ぐことも考えていくべきだと松浦氏は指摘する。

 育成補償費とは23歳以下の選手が移籍する場合、21歳までの育成費用を移籍先クラブが補償する制度のことをいう。この制度は移籍元クラブの下部組織在籍年数も補償期間に含んでおり、その金額はジュニアユース1年あたり100万円、ユースとトップチームは1年あたり800万円という金額が設定されている。

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