移籍制度の変更は日本サッカーに何をもたらすのか

2013年01月29日(火)10時29分配信

text by 秋元大輔 photo Kenzaburo Matsuoka
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香川の移籍でC大阪には約4000万円の育成補償費が入った【写真:松岡健三郎】

 育成補償費が満額発生する場合、その金額は約5000万円にのぼる。セレッソ大阪からドルトムントに移籍した香川真司の場合、ユースとトップチームに約5年在籍したことで、800万円×約5年=約4000万円の育成補償費がセレッソ大阪に入ったとされる。

「今後は国内間の移籍であっても3、4000万円位の育成補償費であれば出すというチームがJ1の上の方に出てくるといいんですけどね。そうすれば各Jクラブもそれを目指して育成に精を出すという仕組みができてくるかもしれません」

 特に運営予算が数億円規模のJ2下位クラブにとって3、4000万円の収入は大きい。スーパーな選手がJ2の育成組織から育ちJ1クラブに買われていくサイクルが生まれれば理想的であるが、実際には育成組織の充実が求められるJ2クラブほどそこまで手が回っていない現実がある。

運営規模の小さいJ2クラブに未来はあるのか?

 では、運営規模の小さいJ2クラブの生き残り策についてどのように考えていったらいいのだろうか。

「J2クラブは育てては取られ、育てては取られという状況になっています。みんなドイツのクラブを批判していますが、J1クラブだって0円の選手しか取らないわけで、やっていることは同じです。結局は『移籍金がかかってでも取りますよ』というチームがどれくらい出てくるかが大事で、それはお金の問題なのでお金がないことにはどうにもならない。そのためにはJリーグ全体の景気がよくならないといけないし、そろそろJリーグ自体の設計を見直す必要もあるのかもしれません」

 移籍ルールが国際基準になったということは、すなわち国内クラブを保護するためのローカルルールが撤廃されたということである。であればJリーグ創世記に掲げた拡大路線を軌道修正すべき時代にすでに突入しているといえるのかもしれない。近い将来、JFLとJ2の入れ替え制度が始まれば、生存競争が激化しチーム数が淘汰されていくこともありえる。そういう厳しい競争の中で勝ち残れるのは、育成組織の改革に成功したクラブとなるのではないか。

 移籍制度の変更はどのような未来図を描き出そうとしているのか、まだしばらくは混沌とした過渡期が続きそうである。

【了】

初出:サッカー批評issue50

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