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2013補強診断 11年前

2013シーズンのJリーグを占う。各クラブの戦力補強診断 ~名古屋グランパス編~

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka

前線の布陣には再構築が求められる


ストイコビッチ監督【写真:松岡健三郎】

 次に、チームの陣容から今季の戦いを予想してみる。ストイコビッチ監督がチームを率いるようになって今季で6シーズン目を迎えるが、優勝した2010年以降の戦い方はほぼ一貫している。優勝したシーズン、そして2011シーズンはケネディと玉田の2人で30得点以上挙げており、チーム総得点の半分は彼ら二人が叩きだしていた計算になる。

 しかし昨シーズンは二人で10得点となり、前年と比較すると23点ものマイナスとなった。チームの得点数が前年比で21減っているから、その内訳はほぼ彼ら二人の得点数と言える。

 ケネディは昨年11月に腰痛のため手術を受けており、今シーズンも開幕から100%のコンディションで戦えるか不安が残る。今年33歳になる玉田も、昨シーズン膝の手術を受けており、年齢を考えてもシーズンを通して万全に戦えるかどうか難しいところだ。そして、昨シーズンのチーム得点王である永井もチームを離れた。今シーズンは、彼らに頼る攻撃から脱却し、新たな得点パターンを生み出すことが再浮上へに向けた必須の条項になるだろう。

 昨シーズンはケネディのコンディションが上がらず、苦肉の策で闘莉王の前線起用に踏み切った。闘莉王はその類い希なサッカーセンスで結果的に9得点を挙げる活躍を見せたものの、その分ディフェンスラインは安定感を失い、特に後方からのビルドアップに関してはスムーズさを欠いた。あくまでも緊急避難的な措置であり、もし今シーズンも闘莉王の前線起用が続くようであれば、名古屋の上位進出は難しくなる。

 永井と金崎が抜けた前線の布陣には、再構築が求められる。ケネディを軸に、新加入の矢野とヤキモフスキー、そして小川佳純や藤本淳吾らの経験ある選手がポジションを争い、田中輝和や田鍋陵太らの若手が絡んでくることになる。中盤よりも後ろは豊富な経験と高い能力をあわせ持った人材が揃っていて、安定感のあるパフォーマンスが期待できる。そこに前線の選手たちをどう組み合わせていくのか、ストイコビッチ監督の手腕に期待が掛かる。

 昨シーズン大きな成長を遂げた田口泰士や、長期離脱から復帰してきた磯村亮太らの若手選手たちも高い能力を持っていることは実証済みであり、中盤の構成も含めて少なからぬ変化が見られるかもしれない。今シーズンの名古屋は結果を求められつつも、チームの若返りを進めていかなければならない非常に難しいシーズンだ。昨年の悔しさをバネにして、盛り返していく姿を期待したい。

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