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Jリーグ 11年前

浦和レッズは本当に生まれ変わったのか? ~常勝クラブとなるために必要なこと~(前編)

text by 島崎英純 photo by Kenzaburo Matsuoka

ペトロヴィッチ監督は「サードチョイス」

 ここからは12年シーズンの浦和について、主にチーム、現場の状況を主眼に考察していきたいと思う。

 12年シーズンを迎えるにあたり、クラブは新指揮官招聘を最重要案件に挙げた。前年度途中から指揮を執った堀監督はトップカテゴリーでの指導者経験を欲してコーチ職を希望。

 そこでクラブフロントは近年の現場とフロントとの関係不全を反省して日本語でコミュニケーションが取れ、かつJリーグでの実績を備える指揮官の招聘を目指して岡田武史(元日本代表監督、横浜F・マリノス監督など)、西野朗(元アトランタ五輪代表監督、元ガンバ大阪監督など)に白羽の矢を当てた。


2012シーズンから指揮を執るミハイロ・ペトロヴィッチ監督【写真:松岡健三郎】

 しかし両人からはいずれも就任の承諾を得られず、クラブは妥協案としてセルビア出身でオーストリア国籍を有する元サンフレッチェ広島監督のミハイロ・ペトロヴィッチ(以下、ミシャ)の招聘を画策する。

 ミシャは日本語でのコミュニケートが困難でドイツ語通訳を介さなくてはならないが、広島で長く指揮を執りJリーグでの経験が豊富というアドバンテージがあった。また当時のミシャは広島と年棒面などの理由から11年シーズンをもって契約を満了し、日本での新天地探しを模索していた。以上の点などから本人と浦和サイドの思惑が一致し、晴れて契約締結の運びとなったのである。

 ちなみに指揮官招聘に尽力した山道守彦強化部長はミシャが岡田氏、西野氏に続く「サードチョイスだった」ことを自ら明らかにしている。一方で「ミシャに決まったからにはクラブを挙げて彼以下、現場を全面的にサポートする」とバックアップを明言してもいた。

【後編に続く】

初出:サッカー批評issue60

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