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ベルギーで奮闘する小野裕二と永井謙佑。地元記者が語る彼らの真価とは?

text by 小川由紀子 photo by Kenzaburo Matsuoka

評価を高めるユージとケンスケ

 と、ここまでわずか2カ月足らずの間に、彼ら2人の評価は大きく変わってきている。前出のブシャール記者は「思ったよりも早いペースでチームに順応している。我々の予想は、良い意味で裏切られた。2人とも順調に良い方向に進んでいる。このままの調子でいけば、来季はチームにとって貴重な主力になるだろう」と語る。

 地元紙『デルニエ・ウール』のリエージュ担当、ケビン・ソバージュ記者も「監督と旧知ということで期待された2人のルーマニア人選手がまったく活躍できていないことで、逆にユージとケンスケの価値を急上昇させることになった。2人ともまだ真価を発揮できているとは言えないが、それは今後さらに進歩していくという意味でもある。早急な判断はせず、2人の成長を今後もじっくり観察したい」と期待を寄せる。

 また、チームメイトのウィリアム・バンカーは「とくにユージはすごく良いね。このままいけば、彼は間違いなく来季はチームに欠かせない選手になる」と早くも太鼓判を押している。

 2人とも、現在家庭教師をつけてフランス語と英語を勉強中だが、言葉の壁こそあるもの、チームメイトから、彼らに対するネガティブなコメントは一切聞こえてこない。さらに、日本語を話す地元男性が練習に立ち会って監督の指示を伝えることで、2人の戦術理解の大きな手助けになっている。

 一般的に、日本人選手は、器用さ、巧さ、視野の良さに関しては他の選手より優っている。その長所を発揮できる環境でプレーすることができれば、チームの戦力になれることは確実だ。クラブ側の思惑や獲得の動機がなんであれ、彼ら自身が自らの成長を賭けて挑んでいる限り、彼らの努力次第で、必ず道は拓けてくる。

【了】

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