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Jリーグ 11年前

J1の得点ランクトップを走る豊田陽平。得点を積み重ねられる理由と未来像

text by 荒木英喜 photo by Kenzaburo Matsuoka

ザックジャパンへの招集はあるのか?

 鳥栖に加入した当初、「周りに生かされるタイプなので、ゴール前でのプレーを増やし、存在をアピールしたい」と豊田は話していた。鳥栖での4シーズン目を迎えた今、彼のプレーはチームメートに浸透し絶対的なエースへと成長した。チームメートが大事につないでくれたボールを高い確率で決めるから、豊田にボールがさらに集まる。そうした良いサイクルもできあがっている。

 強さ、スピード、相手のマークを外す動き。FWに必要な多くの要素を備えている豊田に敢えて課題を挙げるなら、突破力とポストプレーの2つ。

 鳥栖を率いる尹晶煥監督は「ドリブルで相手を交わして点に持って行く力を養っていけば、もっとレベルアップする」と話す。豊田に絶対的な信頼を置きながらも、エースとしてさらなる成長を期待しているからこその厳しい言葉だ。

 また、豊田は足元でボールを収めるタイプではないために、ポストプレーにもまだまだレベルアップの余地がある。彼が前線でボールキープして他の選手の上がる時間を作れるようになれば、鳥栖の攻撃に厚みが増すと同時に彼のプレーの幅も広がる。

 この2つの能力がさらに高まれば、日本で類を見ない万能型FWへと成長するはず。そうなった時、鳥栖からクラブ初の日本代表選手が誕生するだろう。

 実は冒頭の言葉には続きがある。それが「選手として(ゴールを)追求していく」という言葉。しかし、彼は自らのエゴで得点を求めているのではない。プロで初めてハットトリックを達成した2011年の第33節・岐阜戦では、引き分けたために「(ハットトリックしても)全然嬉しくない」と試合後に話した。あくまでも、チームが勝利するために豊田はゴールを求め続ける。

【了】

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