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編集日記 11年前

遠藤は試合中にどこを見ているのか?【川口昌寿 週刊パワープレー】

少年時代から、広い視野を持ってプレーしていたという遠藤保仁。一瞬で状況を読み取る、彼の特長はどのようにして育まれてきたのか。この度重版が決定した『眼・術・戦 ヤット流ゲームメイクの極意』の内容に触れながら、その一端を紹介する。

text by 川口昌寿 photo by Kenzaburo Matsuoka

【川口昌寿 週刊パワープレー】

『眼・術・戦』のタイトルが付いたキッカケ

 こんにちは、サッカー編集部・川口です。

『眼・術・戦 ヤット流ゲームメイクの極意』おかげさまで重版決定となりました。

 お手に取っていただいた皆様に厚くお礼申し上げます。重版出来予定は4月18日(木)となりますので、どうそよろしくお願いいたします。

 今回は皆さんからよく尋ねられる、『眼・術・戦』というタイトルについて書きたいと思います。

 本書は遠藤選手のサッカー理論やプレービジョンにスポットに当てて描かれています。遠藤選手ご自身も話しているように、足の速さや身体の強さを売りとするタイプの選手ではありません。日本代表やガンバ大阪でもゲームメーカーをつとめる遠藤選手は技術に秀で、なにより優れた戦術眼を持った選手ではないでしょうか。

 上記の「戦術眼(せんじゅつがん)」という言葉があるように、タイトルの読み方は漢字を逆から読んだ『がん・じゅつ・せん』となります。

 本文中には「眼(め)」や「術(すべ)」といったルビがあります。そのため、ご注文の際に『め・すべ・せん』と聞くこともしばしば。書店の検索機で探せず、ご苦労をかけるかもしれませんので、タイトル名にお気をつけ下さい。

 そもそも、このタイトルがついたキッカケは、著者のひとりである西部謙司氏との打ち合せでした。前回の編集部日記(※遠藤保仁のゲームメイク術を読み解く)の中で、本文中の内容を引用しながら遠藤選手のプレーにとって「眼」が非常に重要であることをお伝えしました。

 原稿執筆期間中、西部氏から
「原稿は章ごとにアップしていきます。順序は『戦術眼』の逆になりそう」
と連絡をいただき、一章があがったときのタイトルが「眼」でした。続いて「術」、最後が「戦」。

遠藤は試合中にどこを見ているのか?
遠藤保仁【写真:松岡健三郎】

 詳しくは本書をご覧頂きたいと思いますが、遠藤選手のプレーの源は、特殊なその「眼」に集約されています。そして、プレー中の思考を追っていくと、はじめに「眼」ありき。

 そして判断を実行するための「術」、これらを駆使した「戦」にいきついていきました。つまり、遠藤選手の戦術眼は『眼・術・戦』の順で思考され、この順が遠藤選手のサッカー論や発想を凝縮した言葉のように感じました。

 戦術眼と一言で表現される言葉ですが、掘り下げていくことで、そのなかにはいくつも奥深いプレー理論が隠れています。

 今回も遠藤選手がプレー中に駆使する、重要な「眼」について、本書より一部を紹介したいと思います。

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