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レアルの豪華攻撃陣はなぜドルトムントの前に無力だったのか

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

カウンター頼みでなかった攻撃

 ドルトムントの守備における大きな強みが、各選手のマルチロール性だ。1トップのレバンドフスキを除く全てのフィールド選手が、流れに応じて周囲のポジションの役割を高いレベルでこなすことができる。

 そして全員の運動量が高く、ロイスやゲッツェであっても守備は後ろの選手と同等にハードワークするということだ。その強みをクロップ監督はハイプレスに活かしてきたが、このマドリー戦ではブロック内のマンツーマンと受け渡し、サポートのやり繰りで発揮させたのだ。

 スローインから素早くつながれた前半の失点、また長いサイドチェンジやロングパスから何度かパスの受け手をフリーにするなど、全く隙が無かったわけではない。しかし、ボール保持者をゾーン&マンツーマンの網にかけた場面で相手に崩されるケースはほとんど無かった。

 しかも、マドリーの選手はこうした状況になっても、少ない手数で縦パスやドリブル突破を狙ってくる。そこでボールを奪い、シンプルなパスで前の選手にボールを付け、自分たちの攻撃につなげた。

 ドルトムントは全体で守備のブロックを作ってマドリーの攻撃に対処したが、攻撃をカウンターに頼ったわけではなかった。ボールを高い位置まで運びながら、全体が素早く高い位置に押し上げ、厚みのある攻撃を実行したのだ。

 4点目は素早いスローインからロイスがPKを獲得したものだが、それまでの3得点はしっかりと攻撃人数をかけて奪ったものだ。

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