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Jリーグ 11年前

アウェイで貴重な勝利を挙げた柏。苦しい展開でも結果を得た彼らの“したたかさ”とは?

text by 鈴木潤 photo by Kenzaburo Matsuoka

好調・菅野がファインセーブを連発

 後半はボランチのポジショニングを修正し、レアンドロを起点にしたカウンターで加点を狙いたいところだったが、ほとんど前半と同じ流れで試合は進む。

 ただこの日、横浜FM戦の脳震盪から復帰した菅野孝憲が絶好調で、何かに取りつかれたかのような神懸かり的なセービングを見せる。パワープレー、ディフェンスラインの背後を突かれた1対1、セットプレーなど、失点してもおかしくはないシーンが何度も続いたが、そのいずれも菅野のセーブでゴールを阻んだ。「体は切れていたので、シュートコースを読まずに、ボールを最後まで見ていた」と振り返る菅野。「止める自信はあった」と柏の誇る守護神が全北の前に大きな壁となって立ちはだかる。

 74分、左コーナーキックから、増嶋が強烈なヘッドを突き刺し2-0、待望の追加点が決まる。前半からセットプレーの際、キム・ジェファンの執拗なマーキングに苦しんだ増嶋だったが、そのマーキングを瞬間的に外し、フリーの状態を得たたった1回のセットプレーだった。再三に渡りピンチを迎えながら、こうしたわずかなチャンスで追加点を挙げてしまうところは、いかにも柏らしい“したたかさ”だ。

 終盤、全北は攻撃的な選手をピッチに送り、さらにハイボールを中心に怒涛の攻撃を浴びせてきたが、韓国特有のフィジカルを前面に押し出したサッカーにもタフに渡り合い、最後まで集中力が途切れることなく、この2点を守り切った。

 2-0というアウェイでの先勝。柏が大きなアドバンテージを握ったのは間違いない。ただ、全北のファビオ監督が「柏の遠征ではゴールを決めることができる」と試合後に自信を覗かせており、大谷もまた「全北はひっくり返す力を持っている」と警戒の念を強めた。

 おそらく第2戦でも、全北はハイボールを中心にパワープレーを仕掛けてくるだろう。柏としては、もちろんハイボールそのものへの対応も重要だが、極力自分たちがゲームをコントロールして、相手の攻撃頻度を減らすことで、全北のパワープレーを封じたいところだ。

【了】

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サッカー批評 ISSUE62

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