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Jリーグ 11年前

アウェイで貴重な勝利を挙げた柏。苦しい展開でも結果を得た彼らの“したたかさ”とは?

ACLラウンド16・1stレグ、柏レイソルは全北現代のアウェーに乗り込み、2-0で勝利した。アウェイゴールを2点重ねた価値ある勝利だが、試合内容としては厳しい時間が続いた。その中で結果を残した、柏レイソルのしたたかな戦いに迫る。

text by 鈴木潤 photo by Kenzaburo Matsuoka

相手の油断を突き開始3分に先制点

アウェイで貴重な勝利を挙げた柏。苦しい展開でも結果を得た彼らの“したたかさ”とは?
工藤壮人【写真:松岡健三郎】

 グループステージの浦和戦でも立ち上がりに失点したように、どうやら全北は試合開始直後に難があるようだ。「180分ある。試合は長いので、立ち上がりに勝負を仕掛けたということはない」とネルシーニョ監督は話していたが、開始3分の先制弾は非常に大きな意味合いを持っていた。

 先制場面は、明らかに全北の対応に緩さがあった。左サイドのオープンスペースを狙った近藤直也のフィードは、全北の右サイドバック、チャン・グァンファンが難なく対応すると思いきや、ここでバウンドの処理にもたつき、その隙を突いたジョルジ・ワグネルがクロスを上げた。

 また、ゴール前では試合開始直後ゆえにマークの確認がなされていない様子で、ボックス内に走り込んできた工藤壮人に対し全北はボランチもセンターバックも競りにいかなかった。「油断があったんだと思う」。そう振り返る工藤のヘッドが決まり、柏がいきなり先制、しかも貴重なアウェイゴールだ。

 この先制弾で柏は勢いづき、逆に全北は浮足立った。この試合から復帰したレアンドロ・ドミンゲスが全北のディフェンスラインの急所を突くスルーパスを通し、クレオと工藤のシュートシーンを演出。しかし、2度の好機はGKクォン・スンテが好セーブを見せた。

 立ち上がりこそリズム良く攻撃を仕掛けた柏だったが、早い時間帯の失点で全北が早くもロングボールを蹴り込んでくると、その対応に柏のディフェンスラインがズルズル下がり始める。

 近藤と渡部博文がイ・ドングッと競り合い、そのこぼれ球を全北のトップ下、イ・スンギが虎視眈々と狙っていたため、彼の対応に大谷秀和と栗澤僚一のボランチコンビも引いてしまい、放り込まれる全北のハイボールを弾き返しても、セカンドボールを拾うはずのボランチがディフェンスラインに吸収されたことで、こぼれ球のほとんどを全北が支配し、さらに押し込まれるという悪い流れとなる。

 また、柏は右サイドバックの藤田優人が負傷欠場、キム・チャンスが出場停止だったため、この日右サイドバックには鈴木大輔が入った。左サイドバックの増嶋竜也を含めて、センターバックの4人が最終ラインに並ぶこの布陣。空中戦や球際の攻防では強さを発揮できていたが、やはり左右が本職のサイドバックではない影響は如実に表れ、ボールを奪ってからサイドへ展開した時のビルドアップにミスが生じ、柏は一向に流れを掴めなくなってしまう。

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