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Jリーグ 11年前

大量6得点を奪った浦和レッズ。攻撃にアクセントを加えた“右ストッパー”森脇良太

text by 編集部 photo by editorial staff

相手ロングボールには脆さを見せる

 前半は鳥栖が風下の陣地を取っていたこともあり、それほどロングボールに悩まされることはなかったが、後半に入ると、鳥栖はリードされていることもあったのか前線からより積極的なプレスを掛け、攻撃時にはどんどん長いボールを入れてくるようになった。

 ACLでも何度か見られていることだが、今シーズンの浦和は単純なロングボールを入れられたときの対応に苦慮する場面が散見される。鳥栖には豊田陽平と池田圭というフィジカルに優れたタレントが前線に入っていることもあり、後半の10分過ぎからかなり苦しい時間帯が続いた。

 豊田が決定的な場面を迎えたのは高橋義希のゴールが生まれた直前のプレーのみだったが、ハイボールの競り合いについては高い確率で豊田が勝利し、そのこぼれ球へのアプローチも鳥栖の方が一歩出足が早く、この時間帯は鳥栖が繰り返しセカンドボールを拾い、多くのチャンスを生み出していた。

 これは二律背反することで、技術的に優れ、攻撃面でより多くの特長を持った選手を3バックに配置しているのだから、当然のことではある。鳥栖戦のように攻撃が機能し、多くの得点を奪うために今の戦い方を志向しているのだし、失点はある程度織り込み済みだろう。そのバランスが得点のほうに多く振れるようなトレーニングを、ペトロヴィッチ監督は進めている。

 攻撃面での質的な向上は明らかで、かなり高いレベルでビルドアップからフィニッシュまで到ることができるようになっている。華麗という形容詞を与えても、十分にその役割を果たすことができるだろう。ただ、分かりやすい圧力を掛けられたときに見せるディフェンスの脆さは、上記の理由により、劇的な改善を果たすことはないと考えられる。

 明確なスタイルを持って戦い、そこに華麗さと脆さが共存する、今季の浦和レッズ。そのアンバランスな部分が、チームの魅力に繋がっているのかもしれない。

【了】

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