川島永嗣のプロフェッショナリズム(前編)

2013年06月03日(Mon)10時43分配信

text by 小川由紀子 photo Kenzaburo Matsuoka
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現地で絶賛される川島のプロ意識

 リールセは、彼のその才能を十二分に生かせるクラブだった。

 ベルギーリーグには外国人枠がない。登録選手25人のうち20人が外国人、という多国籍軍のリールセは、オーナーがエジプト人であることもあり、同胞の選手をはじめモロッコ人などアフリカ大陸の選手も多く、他にもマケドニア人、オランダ人など国際色豊か。よってクラブ内の公用語も、この地方で話されるフラマン語ではなく英語という特殊なクラブだった。

 このインターナショナルな雰囲気は、自国民で占められた中にたった一人の外国人として飛びこんでいくよりも、はるかに馴染みやすい環境だったに違いない。

 もちろん川島は語学力だけで成功をつかんだわけではない。

 そもそも彼が入団した2010年の夏、クラブは積極的にGKを探してはいなかった。とあるエージェントから持ち込まれた川島のビデオを見たフロント陣が惚れ込み、即座にフロンターレに照会を求めた、というのがいきさつだった。

 それは、W杯南アフリカ大会で活躍する前のこと。大会後、川島の元にはさらに複数のクラブからオファーが舞い込むことになるのだが、「W杯前から熱心に獲得の意志を示してくれた」彼らの熱意に川島は応えたのだった。

 GKとしての川島の魅力を、クラブのCEOニール・デ・ケウラーは、こう語っている。

「ゴール内での動きが素早く、ライン上でのボールの処理が巧い。さらに、ディフェンスラインを統率できるリーダーシップのある選手」

 フロント陣は、川島獲得にあたり、名古屋グランパス時代の恩師であり、ベルギーリーグでの監督経験もあるセフ・フェルホーセンにもアドバイスを仰いだが、彼が「人柄、能力ともに申し分ない」と太鼓判を押したことも、獲得の決め手となった。

 さらに彼の評価を裏づけているのは、その人間性だ。

 昨季からテクニカル・ダイレクターを務めるルート・カイザーは、「彼について、悪い点は思いつかない。彼のことを嫌いという人は一人もいないだろう」と川島の人柄を絶賛する。

「彼は非常にプロフェッショナルな選手で、真面目で規律正しく誰に対してもオープン。顔を合わせるたびに、人懐こい笑顔で握手を求めてくれる。選手としてだけでなく、一個人として大好きな人物だ」

 川島の印象を関係者に尋ねて、一番よく耳にするのが「プロフェッショナル」という単語。

 元同僚のゴンザグ・ファン・ドーレンも「彼は自分が選手人生で出会った選手の中で、もっともプロフェッショナルな選手だ」と語り、現在在籍するスタンダード・リエージュでも、番記者たちを一番印象づけたのは、川島の「プロフェッショナリズム」だったという。

 カイザー氏もほかの選手と比較しながら、川島のプロ意識を評価する。

「プロ選手が、誰しもまじめに取り組んでいるわけではない。大金を手にして勘違いし、サッカーが疎かになる者は大勢いる。しかしエイジは違う。いつも両足がしっかりと地面に着いていて、奢ったところは少しもない」

【後編に続く】

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