元日本代表・名良橋晃が徹底解析 長友佑都、内田篤人、酒井宏樹…… 日本のサイドバックは世界を制するか?

2013年06月08日(Sat)17時00分配信

text by 飯尾篤史 photo Asuka Kudo
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激しいポジション争いが選手の力を伸ばす

 酒井宏の魅力は、そうしたフィジカル面での強さと縦への推進力、クロスを入れるタイミングと精度に見出せる。

「スペースに出て行くタイミング、クロスを入れるタイミングが抜群に良い。そして馬力。長友はアジリティ系の馬力ですけど、酒井宏はゴリゴリ系の馬力。あと、CBもこなせる守備力やフィジカルも魅力です。僕は3-4-3を採用した場合、ザッケローニ監督は酒井宏を3バックの右としても考えているんじゃないかという気がしていて。右サイドで酒井宏と篤人のふたりが縦に並ぶのも面白い」

 フランス戦では酒井宏が先発し、ブラジル戦では内田がスタメンに返り咲いた。だが、ハーフタイムで交代となり、後半から酒井宏が登場した。ポジション争いは熾烈だ。

「ブラジル戦は難しいゲームでした。右サイドはカカがいて、ネイマールも流れてきて、ボランチまで飛び出してきて、裏だけでなく、CBとの間も狙われてしまった。これは篤人だけの責任ではなく、ボランチのサポートなど、チームとしての課題でしょう。酒井宏が出てきた後半も状況はさほど変わっていない。でも、ライバルの関係はお互いにとって良いことだと思います。僕の時代も右SBにはイチ(市川大祐)、ミニラ(中村忠)、(中西)永輔、柳本(啓成)がいた。そのおかげで自分を高められたのは間違いないです。右サイドにはふたりだけでなく、駒野もいますからね」

 4人の中でクロスの精度が最も高く、ユーティリティ性に富むのは駒野だ、と名良橋は見ている。

「前田遼一に合わせるニアへのクロスは芸術の域だし、2012年8月のベネズエラ戦でマイナスに入れて遠藤保仁の先制点を演出したように、視野も判断も的確。それに、左右のSBを遜色なくこなせて、中盤もできる。サブのまま黙ってないでしょう」

 長友、内田、酒井宏、駒野の4人に加え、酒井高も代表定着を虎視眈々と狙っているはずだ。加えて、有望なSBは国内にも存在する。

「一度呼んでほしいのは、仙台の菅井直樹。高さがあり、ゴール前まで侵入する攻撃力もあり、かつてボランチだっただけにユーティリティ性もある。他にも、清水の石毛秀樹と吉田豊、広島の清水航平、湘南の古林将太はいずれも若く、攻撃的なタイプ。そして、古巣だけに叱咤したいのが鹿島の西大伍。遠慮せず自分の特徴をもっとアピールしてほしい。技術は高いんだから」

 現代サッカーでは、SBは攻守において大きなカギを握るポジションになった。SBを最大限に生かせるチームが試合をコントロールし得るこの時代、SB製造工場となりつつある日本は、大きな可能性を秘めている。

【了】

プロフィール

名良橋晃
1971年11月26日生まれ。千葉県出身。1990年にJSL1部フジタ(現湘南ベルマーレ)に加入。1997年鹿島アントラーズに移籍。1998年フランスW杯では日本代表の右ウイングバックとして全3試合に先発出場した。2007年湘南ベルマーレに移籍し、2008年現役引退。現在はサッカー解説などで活躍中。

初出:サッカー批評issue59

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