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なぜ日本ではトップ下の選手が多いのか? オランダ視点から分析する日本サッカーの強みと課題

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

SBの仕事はWGを止めること

(守)「WGはSBを、SBはWGをマンマークしろ」

 サイドでの守備の約束事はシンプルで、要は「対面の選手につけ」というのがセオリーとなる。上記のようにSBは基本的に攻め上がらないため、WGの仕事はパスコースの限定のみ。

 守備に体力に使うことはそうない。もし相手SBが数少ない攻撃的SBだったとしても、ドリブル突破に優れたWGが居残ることで相手SBの攻め上がりを防ぎ、結果として守備に貢献させようとするという。

 SBの求められる役割は、「WGのドリブルを止めろ」である。WGのドリブルを止めるタスクを常日頃から与えられるため、ボールを持っている相手を止める対人能力は非常に高くなる。

 また、オランダのSBとCBの役割は似通っている部分が多い。よって、まだ守備に難のあるオランダの若手CBはSBとして起用されることが多々ある。そのような育成の過程を通るため、CBもSBも出来るDFが多いとのことだ。

 逆に日本の場合だと、CBとSBに求められる役割があまりに違い過ぎるため、CBもSBもできるDFというのは少なくなる。

小柄なスナイデルがプレッシャーをかわせるのは4-3-3の恩恵?

(攻)「マークを外せ」

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ウェズレイ・スナイデル【写真:原田亮太】

 サイドはともかく中央で常に数的同数でマンマークを受けるとなると、ボールを受けてさばくプレーの難易度は格段に上がる。オランダのCHはその難しい状況下で育つために、相手のマークを外す、または相手のプレッシャーを受けながらもボールをさばく能力が高くなる。

 その結果として、たとえ大柄な選手に強いプレッシャーを受けようとも、なんなくやり過ごせる小柄でテクニカルなウェズレイ・スナイデルのような選手が出てくることになる。

(守)「マンマーク気味に守れ」

 もちろんスペースも意識はするが、4-2-3-1や4-4-2に比べるとマンマークの色が濃くなる。結果として、他のシステムよりボールを受けようとする選手や持っている選手へのプレッシャーが強まり、レシーバーとしてのマークを外しターンする能力の向上に繋がる。

 逆に言うと、日本ではCHへのプレッシャーが比較的弱い。そのため、結果としてW杯のような高い強度での試合になると、相手を外して前を向くレシーブ能力の低さを露呈することになるといえる。これは、日本が克服すべき大きな課題のうちの一つである。

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