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なぜ日本ではトップ下の選手が多いのか? オランダ視点から分析する日本サッカーの強みと課題

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

日本のGKに足りない足下の技術

 CB編の部分で書いたが、オランダのCBは低い位置からの組み立てが求められる。ほとんどの状況において、余裕を持って数的有利の状況でパス回しができるが、時としてハイプレスで相手が来る時もある、その時に求められるのが、GKの足下の能力だ。

 ロングキックや逆サイドへの展開が主であるが、時として味方CHへのグランダーでの縦パスも求められる。

 日本でも低い位置からの組み立てを標榜する指導者は多いが、まだまだGKの足下の技術に関する重要性は浸透していないように感じる。オランダでは4-2、5-2のようなポゼッション練習から6-6、8-8のような練習にまで、キーパーをフィールドに含めることが多い。

 そうすることでGKをフィールドの選手の一員であるかのように、組み立てに参加させる回数を増やすような練習運びを行っている。

 現段階で、日本には足下の能力が高いGKが多いとは言えない。身長等どうしようもない欠点があるなら、なおさら足下の技術はストロングポイントになるまで向上させるべきではないだろうか。

 ここまで各ポジションに関して、オランダで求められる役割、その影響、日本との比較を語ってきた。だが、オランダのやり方が100%正しいというわけではない。正確に言うなら、オランダの手法が日本人にとって正しいとは限らない。

 メンタリティがそもそも違う上、何より日本人とオランダ人とは身長が違う。成人男性の平均身長が180cmを超えるオランダと日本を同じように扱うのは、ナンセンスだ。とはいえども、オランダの手法をうまく取り入れれば、日本サッカーの向上につながるのは間違いない。

 日本の至上命題である、「決定不足解消」もオランダという小国にヒントがあるのは間違いないだろう。

【了】

原稿提供:徹マガ

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