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Jリーグ 11年前

【鼎談】池田弘(アルビレックス新潟会長)×村林裕(前FC東京社長)×広瀬一郎 『クラブ経営のあり方とJリーグの未来』(前編)

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka , editorial staff

FC東京がリーダーにならなければならない

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味の素スタジアム【写真:松岡健三郎】

村林「Jリーグの歴史を見ると、ずっとリーダーがいました。スタートはヴェルディとマリノス。FC東京がリーグに参入した99年は、基本的には鹿島と磐田です。FC東京のホームゲームに、アウェイで一番来て下さったチームは磐田なんです」

池田「確かにそうですね」

村林「磐田は全国区というか東京にもたくさんファンがいました。あの当時、東京では国立で試合しているチームがたくさんありましたから、磐田のファンは東京にいて年間何試合も見られた。Jリーグは地域密着を標榜していながらも、全国のリーダーがいたんです。

 あえて言うと、東京はその役にならなきゃいけないと思っている。リーダーがいた時代は今低くなっているテレビの視聴率も高かったし、オフィシャルのスポンサーも大きなメリットがあったから。

 東京で地域密着なんか難しいだろうとかいろいろ言われますよ。でも、東京は東京流をやらなきゃいけない。やはり図抜けたマーケットが東京にはあるわけだから。Jリーグの中で東京がリーダーにならないとJリーグの発展はないと思っているので、そこは絶対必要だと思いますね。

 そのためにFC東京は、みんなで経営する構図を作りました。教科書的に言えば、みんなで経営っていうのはダメって言われているかもしれないけれど、FC東京はあえてそれに挑戦するって最初から言ってるんです。スタートの時に161社だった株主が、10年ちょっとで今365社まできました。そして目標を500社にして、世界を目指すクラブをみんなでやろうと。

 だから1社や2社だけが大株主になったり、もっと言うとそれが公益事業の東ガスや東電というような企業がっていうのは、可能性としてあり得ないと。そうすると、この2社の役割は、スタートアップのところは責任を持ってやる。この両社が責任を持っている間に、FC東京がなんらかの自立する道を作るのが私に与えられた使命だったし、今でもそこは変わってないと思います」

【中編に続く】

初出:サッカー批評issue55

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