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Jリーグ 11年前

【鼎談】池田弘(アルビレックス新潟会長)×村林裕(前FC東京社長)×広瀬一郎 『クラブ経営のあり方とJリーグの未来』(後編)

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka , editorial staff

リーグ一体で戦略の懸賞と過去の総括を

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【写真:松岡健三郎】

村林「ただ、クラブ数を増やすメリットはある。僕は基本的には賛成です。だったら普及のために減った分を協会が補ってもいいと思いますよ」

池田「1クラブだけじゃ限度がありますから、リーグが一体になることも1つの戦略です。例えば、吉本とタッグを組んだり、AKBのような売り方で一気に盛り上げたり。それは映像の出方に大きく影響すると思います。要するに露出を増やす、やはりメディアの時代ですから」

広瀬「セレッソみたいにイケメン選手を揃えて女性ファンを獲得するのも面白いですよね。ここでの議論、どれが正解って話ではないですが、こういう議論が、Jの実行委員会とかであればいいな、と思います。しかも発言する人が数人じゃなくて、『俺にもこういうアイデアがあるよ』とか、たくさんの人で議論できるようになって欲しいですね。そうやってリーグの経営とクラブの経営の両輪が上手く噛み合うと、リーグ全体が良くなると思います」

――最後にまとめとして、大きな画という意味で、リーグ自体のビジョンをどう描いていくべきだと思いますか?

広瀬「変える変えないは結論。だけど、その議論がされていますか、と思う。だから今までのレールの延長上でやることが既成路線のような議論だと、キツい。イノベーションの可能性はあるけれども、戦略的に今はイノベーションしません、これはアリ。無戦略も戦略だから。ただ戦略無しっていうのはないんですよ」

――その戦略の検証と過去の総括が今はなされてないと。

広瀬「やった方がいいと、僕は思います」

池田「リーグ一体でね」

広瀬「それと見直しも必要ですね。20年ですから」

村林「見直すというよりも、最初とは構図が変わっていることを認識することが大事だと思います。クラブライセンス制度ができましたから、これをいい機会にしたらいいんです。一番まずいのは、ルールを守れなかったところを救ってしまうことです。しかしこの制度はクラブを減らすことや切ることが目的ではない。最も大事なのは、守れないクラブが1つもでないように、リーグとすべてのクラブ経営者双方が、自らの役割にまさに死に物狂いで取り組むことだと思います。少なくとも一旦Jリーグに入ったクラブは仲間であることの認識が必要と思います」

【了】

初出:サッカー批評issue55

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